「雅子とともにイギリスの地へ」と願い続けた天皇陛下 ディスコ入場を断られ、「ウッソー!」の反応に困ったオックスフォードの思い出
陛下は記者会見で、自身の著書『テムズとともに』についても触れた。 著書で陛下は、故エリザベス女王をはじめとする英王室のメンバーとの交流や、英国の歴史を背景にした国民性や生活習慣への考察、ライフワークとなった水の研究に至る過程、大学での講義などについてつづっている。 ■ディスコの「ドレスコード」でNG また、学生仲間と夜の街に繰り出した際の失敗談など、陛下らしい述懐も見つけることができる。 私はいかにもディスコが好きそうなMCR(※編集部注:ミドル・コモン・ルームの略)のある男性と一緒にとあるディスコに入ろうとして、入り口で差し止められてしまった。理由を聞くと、ティーシャツやジーンズではその晩は入れない由である。ちなみに、私がジーンズ、友達がティーシャツ姿であった この話には、きちんと「オチ」もついている。 さらにその人は私たちの後方にいた警護官を指差し、「あなたは結構です」と言った。彼はネクタイこそしめていなかったが、ブレザー姿であったから許可されたのであろう 陛下らしいユーモアに満ちた失敗談だけに、読んでいて笑顔になってしまう。 ドレスコードで入れなかったディスコには、後日きちんと「リベンジ」を果たしたようだ。 二度目は、MCRの女子学生も含む男女混合のメンバーで、平日に前回とは違うディスコへ行った。生まれて初めて入るディスコのこと、内部の騒音は聞きしにまさるものと思った。(略)私もまったく自己流のステップで踊りの仲間入りをし、MCRの女学生と向かい合って踊ったりしたので、退屈するようなこともなかった 陛下がディスコを後にしたとき、すでに夜中の2時を回っていた。 私にとって生涯最初で最後のディスコであったかも知れない
■「ウッソー!」の反応に困った陛下 2年に及ぶ滞在中には、日本人観光客と遭遇することもあったようだ。 外出時には、できる限りジーンズなどのラフなスタイルで歩くようにしていた。私と顔を合わせた日本からの観光客も最初は目を疑ったらしい。若い女性から目の前で「ウッソー!」と言われたときは、「ウッソー!」の本義を知らず、どう反応していいか迷った また、記者会見で陛下は、雅子さまとは「蜂蜜色の石の建物などが非常に印象的」なコッツウォルズや、クライスト・チャーチ・メドーを散策した話を、おふたりの間でよくしていると話した。 さまざまな出来事があった英国での生活。若き日々を、おふたりが懐かしく思い出されている様子がうかがえる。 陛下は、「私にとっての青春の記憶である」とした著書『テムズとともに』のあとがきを、こう結んでいる。 遠くない将来、同じオックスフォード大学で学んだ雅子とともに、イギリスの地を再び訪れることができることを願っている 願いがかなったオックスフォード訪問では、おふたりで一緒に新しい思い出を作ることになるのだろう。 (AERA dot.編集部・永井貴子)
永井貴子