大丈夫かな… 半年ごとの再発・転移検査を前に。 42歳グルメブロガー、がんになる。(11) 毎日ビール.jp ユッキー
落ち着きを取り戻したら
この原稿を書いている現在の心境としては、精神的に落ち着いています。 落ち着いたきっかけはなんだったかなぁ。もしかすると、仕事の業務が少しだけ詰まってタスクに集中したとか、しっかり睡眠時間を確保できたとか、推しバンドのスケジュールが発表になってそっちに集中したとか、そんな感じだったはず。 生きる時間・活動できる時間は、有限です。だから、ネガティブに過ごすより、ポジティブに生きたいのです。わたしの興味が「やりたいこと/やるべきこと」にシフトしただけで、モヤモヤとした不安は消え去りました。もともと相当ネガティブな人間だけど、それ以上に単純な性格で良かったなぁ。
一度病気になってしまうと、再発や転移の不安から解放されることは一生ないかもしれません。でも、ダメでもともと、やるしかないのです。これって病気は関係なく、みんな同じだと思いませんか。命が続く限り、何かトラブルが生じても、どうにか生き抜くしかないのですから。 生きる時間をどう過ごすかは個人に委ねられています。治療中のわたしは「自分が楽しいこと」と「やりたいこと」をこなし、後悔せずに生きる。シンプルに、それだけです。おいしいものを食べたい。子どもにいろんな経験をさせてあげたい。楽しくライブではしゃぎたい。長年の夢にチャレンジしたい。なんだか変な話ですが、病気と治療を経験し、やりたいことがしっかり見えるようになりました。 やりたいことを、やれる時にめいっぱい楽しもう! 落ち着きを取り戻したら、あとは前に進むだけです。
どうにか「ふつうの生活」を
がんを含む「大病」にかかると、なんとなく思い描く「ふつうの生活」がしにくくなります。それは通院頻度や治療内容、周りからの見られ方もそうですし、さまざまな自由が利かないことも含みます。 例えば、小学生の息子に雷を落としたり。衰えていく老犬をめでたり。壁の向こうから聞こえる夫のいびきで目を覚ましたり。旬の味覚やおいしいビールにほころんだり。推しの配信にニヤつきながら投げ銭したり。 そういったありふれた日常が、とても幸せでかけがえのないものに感じ始めます。健康な人には理解しにくいでしょうけれど、病気を抱えるというのは、そういうことなのです。すると途端に「ふつうの生活」が恋しくなります。 わたしの場合は食事にありがちで、実は「このボリュームは無理だ」「この食材はイレウス(腸閉塞)を起こすからやめておこう」「食後の不調につながるから避けよう」と距離をとることも多いです。サツマイモにコンニャク、海藻類などは消化しにくいそうで、食べると、確かにおなかの調子も振るいません。ふつうの食材を食べられない、それがいまのわたしです。
でも、食事にまつわる不調以外は、比較的安定して過ごせています。だから、まだまだイケると思うんです。そして定期検査のCTと内視鏡を前に、「ふつうの生活」がいかに幸せなのかをかみ締めつつ、これが、どれだけ難しいことなのか再認識もしています。角度を変えると、同じ物事でも見え方がガラリと変わってしまうもの。病気を経てその感覚はいっそう増したし、おかげで人生経験もちょっとは積めたはずです。 間もなく受けるCT検査と内視鏡検査については、いつかこちらでも報告できればと思います。やっと髪の毛が伸びてきたので、脱毛を伴う治療はもうしたくないのが本音ですが… さてさてどうなることやら。