爆走するが決して暴走はしないチャン・ジェヒョン監督の手腕

　そんなわけでアレが出てきたあとに映画は爆走するが、しかし決して暴走はしない。そこんトコ、やっぱり先輩の手腕は見事である。とんでもないモノを出しつつ、謎説きオカルトミステリーとしての筋も通す。人間がアレと対峙ためのルール設定や攻略法、後半のキーワードになる「鉄の杭」に関する謎と種明かしは、やはり先輩らしく丁寧かつ、「あっ、そういうこと！」感満載だ（書いていて思うのだけど……う～む。ネタバレできないのがもどかしい）。 　ともかく私は、パワーと技、両方が揃った先輩の映画スキル、そしてアレを登場させて大暴れさせるホラー映画を真剣に作る「勇気」に心を打たれた。アレを演じるために、あの人を呼んだ先輩のこだわりにも脱帽だ。ちなみに先輩は本作の来日インタビューで、日本への愛を語りつつ、「かわいい妖怪映画だけじゃなくて、怖い妖怪映画も作って！」と熱く語っていた。（※）この人はマジである。その熱意に胸を打たれたのだ。このリアルサウンド映画部にて何年も書かせてもらっているが、今回は過去最高に勢いだけのテキストを書いてしまった気がする。しかし、それくらいビックリする映画であることは間違いないと断言しよう。先輩！　オレは、あんたについていこうと思うんちゃ！ 参考 ※ https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/64637cbfe6e06c284f224d5802c8a11c8443d3c4