永瀬廉の“憂いを帯びた声”の魅力 『よめぼく』三木孝浩監督「お芝居になるとふとした瞬間に憂いの部分が…」
自らに余命が迫る中、さらに短いスパンで命のリミットが近付くヒロインに懸命に恋をする主人公・秋人を演じたのは永瀬。永瀬とは初タッグとなる三木監督は、「もともと彼の声がすごく好きだった」と語る。 「キラキラしたアイドルの方なのに、憂いを帯びた声。陽と陰で言うと、陰のニュアンスを持った方だなと思っていました。それが秋人の諦観した感じや、自分の運命を自嘲的に捉えているところ…でも落ち込む時はしっかり落ち込むみたいなキャラクターと重なるなと。ご本人は普段はとても明るい関西のお兄ちゃんですが(笑)、お芝居になるとふとした瞬間に憂いの部分が表出する。それは永瀬くんの魅力だなと思います。秋人に関してはこれまで斜に構えていた彼が、春奈に出会うことで“ただただこの子のために生きたい”と思うようになる、変化のカーブを描きたかった。それには永瀬くんがもともと持っている人の良さ、一生懸命さ、健気さが必要だったし、そこはうまく引き出せたのかなと思っています」 秋人が恋に落ちる春奈は、今日本映画界が熱い視線を注ぐ出口が務めた。 「彼女はあの見た目通り、本当にキラキラしていて全然死ななそう(笑)。だからこそ春奈というキャラクターが活きるし、“こんな子なのに余命があるんだ”という切なさとショックに繋がったと思います。出口さんに最初にお会いした時もある意味衝撃的で、光が駄々洩れている感じがしました。監督なら誰もが彼女を起用したいと思うだろうなと。僕がこれまでお仕事した女優さんみたいに、会った瞬間に“まぶしい!”と感じる方々と同じような輝きを感じましたね。出口さんの魅力はご本人のかわいらしさや、表情の豊かさはもちろんとして、お芝居をお芝居じゃなくする力。本当にキャラクターとして生きて心が動いている姿を、きっちり映像に乗せてくるところが素晴らしかったです」 月のような静かで優しい光を持つ永瀬と、太陽のようなまぶしさで周囲を照らす出口。初共演となる2人のバランス、相性も三木の予想以上のものとなった。