湘南ベルマーレは残留争いクラスから脱却できるか 山口智監督が今季目指す「全員が同じ絵を描く」スタイル
湘南ベルマーレ 山口智監督インタビュー 後編 湘南ベルマーレの山口智監督へインタビュー。後編では、「1年通して約束事を徹底」「全員が同じ絵を描く」という、今季目指しているサッカーのスタイルを語ってもらった。 【画像】識者10人が選んだJリーグ30年のベストイレブン フォーメーション 前編「昨季の反省『残留への危機感でスイッチが入るようではダメ』」>> 【1年通して約束事を徹底する】 ――先日の今季の新体制発表会で「集大成」「結果を出さなければいけないシーズン」とおっしゃっていました。そんなシーズンを迎えるにあたって、キャンプではどんなことをテーマに臨まれたのでしょうか? まずは湘南のベースである守備。チームとしてのやり方、約束事を徹底することを1年通してやるつもりです。もちろん、課題の攻撃についても向き合っていかなければいけない。根底のところをもっと突き詰めてやっていく必要があると思っています。 ――攻撃面で言えば、昨季はサイドでボールを運べてもそこから崩すアイデア、最後のところでのクオリティが不足していると、監督自身、記者会見でおっしゃっていました。今季はFWルキアン選手やMF鈴木雄斗を獲得して、攻撃面のクオリティアップが期待できる補強だと思いますが、彼らに期待するのはどんな部分でしょうか? もちろん、彼らは違いを生み出してくれる選手で、ストロングを引き出せるようにやり方を工夫したいと思っています。だからと言って、ふたりに依存するようなことがあってもいけません。 他の選手のストロングも大事です。ただ、それはチームとしてやるべきことをやった上での話。先ほど言ったようにベーシックを徹底すると、いい攻撃につながっていくものだと信じているので、そこは選手たちに厳しく要求していきたいと思います。
【全員が同じ絵を描く】 ――攻撃の課題は昨季に限らず、湘南として昔から解決できずにいるものだと会見などでおっしゃっていました。それを改善するのは長い期間が必要ということもおっしゃっていましたが、その課題に対してはどのように取り組んでいこうと考えていますか? 個人の成長やスペシャルな部分を発揮するところはマストとしてあるんですが、選手同士の関係性のなかで生み出していくことも必要です。点を取るのは簡単なことではないんですけど、点を取るところまでいくのは可能で、どうやってそこへ進入していくかという共通認識、全員が同じ絵を描けた時にクオリティは倍増すると思います。 それはなぜかというと、そこまでいくと相手を動かせて、それによって余裕を生み出せるからなんです。そういう考え方、回数を増やしていくことが大事です。 ――その共通の絵を描くための取り組みというのは? シチュエーションとか、コンビネーションを落とし込む方法もやっていますし、個人のスキルアップのトレーニングにも取り組んでいます。ただ、選手たちの技術が足りないというより、そこへの意識が足りない。これまでは意識があってもひとりや数人だけだったと思います。それをチームとして、矛先を一点に集中させる必要がありますね。 よく"攻"と"守"は分けられがちですけど、攻撃している時から守備は始まっているし、守備をしている時には攻撃の一歩は始まっているわけです。そこで優位性が出るような攻撃の仕方、守備の仕方に我々は取り組んでいて、昨季は決定的なところにつなげられた部分もあるんです。 だから我慢しながら同じことを繰り返して、成功体験、結果につながっていけばおのずと自信がついていく。やっていることへの手応えも、もっと出てくると思います。