中村文則による原作を、瀧内公美主演で映画化 映画『奇麗な、悪』予告映像公開
映画『奇麗な、悪』の予告映像が公開された。 芥川賞作家・中村文則による原作「火」を、『RAMPO』以来約30年ぶりに監督を務める奥山和由が実写化する。主演は、卓越した演技力で、ドラマ、映画など幅広く活躍する瀧内公美。 さらに「鎌倉殿の13人」などの撮影監督・戸田義久、美術に部谷京子、『ミッドナイトスワン』などの録音を手掛けた伊藤裕規、『PERFECT DAYS』などの音響効果・大塚智子ら日本映画を代表するスタッフが集結。それに加え、衣装のミハイル ギニス アオヤマ、編集に陳詩婷、ヘアメイクに董氷と国際色豊かなチームが携わる。そして、全編を彩るピエロの口笛のメロディーは芸術文化功労賞受賞者であり国際口笛大会での優勝歴を持つ加藤万里奈が担当した。 【コメント】 ▼中村文則:原作 「前」を向く この『奇麗な、悪』の原作の「火」は、様々な人から、演じてみたい、という声を聞いていた。『火 Hee』として桃井かおりさん監督・脚本・主演で映画化され、「業火」として三木美智代さんによって舞台化されている。「火 Hee」でプロデューサーを務めた奥山和由さんから、「火」をもう一度映画にしたいと言われた時は、しかし驚いた。映画化としては、二回目になるから。出来上がったものを観て、さらに驚くことになる。原作の通りではあるけど、これは一人の女性が、話しているだけの映画。なのに、これほどまでに、引き込まれる。 主演の、というか、お一人しか出演していないのだが、瀧内さんは実に見事だった。多方面から大きな注目を浴びている俳優とは知っていたが、従来の映画には見られない、ここでしか味わえない独特の言語空間をつくり出していた。一人の女性が、自分の内面の奥の奥を、誰もいない場所で、独白する。通常の言葉だけが、連なるはずがない。他者に言う自然な言葉もあれば、反対に内面の奥を探るような、社会化されていない観念的な言葉もある。そして構える言葉、吐き出す言葉、攻撃、防御、揺れ――、あらゆる種類の言葉が解き放たれ、映画空間に言葉の「場」がつくり出されていた。その演技力、存在感。すさまじかった。 映画は、小説よりもどこか「前」を向いている印象がある。瀧内さんによる、奥に芯の見える主人公像もそうだった。この映画はこのように完成したことで、「火」の主人公を救ったのかもしれない。 あらゆる文化が平均化していく中で、このような作品が日本映画にあることが、嬉しい。 ▼加藤万里奈:音楽(口笛奏者) 混沌と平穏、暴力と愛情、そして嘘と本当。 世界は曖昧なことが多い。 おぼろげな旋律に、口笛でぴゅ~っと。 映画『奇麗な、悪』は、2025年2月21日(金)より全国順次公開。
otocoto編集部