負傷から復帰のエース安原知希が復活弾!聖和学園が13年ぶり2回目のプレミアプレーオフ出場決定
[10.5 プリンスリーグ東北第17節 聖和学園高 5-0 聖光学院高 聖和学園高三神峯キャンパスサッカー場] 【写真】「すっごい嬉しそう」「うらやましすぎ」元日本代表MFと元NMB48山本彩さんの2ショットに反響 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2024東北もほとんどのチームが残り2試合と大詰めを迎えた。既に、9月21日の第15節終了時点で首位・ベガルタ仙台ユースのプレミアリーグプレーオフ出場が決定。今年は東北のプレーオフ出場枠は2つだが、もう1つの出場枠に王手をかけたのが3位・聖和学園高だ(2位・青森山田高セカンドはプレーオフ出場資格なし)。9月29日の第16節はプレーオフ出場争いをしてきたモンテディオ山形ユースとの直接対決だったが、2-2で引き分け、勝点4差のままとした。この第17節、聖光学院高との一戦で勝てば自力で2011年以来のプレーオフ出場が決まる状況とした。 対戦相手の聖光学院は今年、プリンスリーグ東北に再昇格を果たすも、ここまで1分15敗と勝利が無く、勝点1で最下位。既に福島県リーグ1部降格が決まっている。選手権を見据え何とか1つでも勝利を手にしたい状況だった。 前半はプレーオフ出場がかかる聖和学園はやや硬い入りとなり、聖光学院の厳しいプレスを受け苦しむ。聖光学院はキャプテンDF斎藤正輝(3年)、MF関淳一郎(3年)を中心に粘り強い守備を見せ続けた。 それでも、徐々に聖和学園は決定機をつくり出せるようになった。17分には、この試合が約5か月ぶりに負傷から復帰となった、聖和学園のエースナンバー14を背負うMF安原知希(3年)がペナルティエリア外からシュート。これがクロスバーを叩く場面もあったが、なかなかゴールネットを揺らせない。 このまま前半終了かと思われた45分、サイドチェンジのロングパスを受けたMF萩原空真(3年)が右サイドを駆け上がりクロス。ゴール前にMF山本倭(3年)が詰める。すると、圧力を受けた聖光学院守備陣にクロスが当たってオウンゴール。聖和学園が先制し、1-0で前半を終えた。 この先制点で楽になった聖和学園は、後半持ち味のドリブルを駆使した圧巻の攻撃サッカーを見せる。後半2分、萩原からのパスを受け、右サイドでボールを持ったのは、安原同様高校総体宮城県予選での負傷以来長期離脱し、前節・山形ユース戦で復帰したFW鈴木優也(3年)。鈴木がクロスを上げると、それを受けたのは安原だった。「そのうちチャンスは来ると思っていたら運良くボールが来たので、気持ち良く右足を振ったらサイドネットに入りました」と振り返るシュートが決まって2点差とした。 負傷から復帰したエースのゴールで聖和学園は大いに勢いづいた。後半25分には、自陣でボールを持ったセンターバックDF亀谷渉太(3年)が相手の隙を突き、馬力のあるドリブルで最前線まで駆け上がってシュートを放つ。「亀谷君は自分で行くと思ったのでこぼれを狙いました」と振り返った途中出場FW布施唯斗(2年)が相手GKが弾いたボールをゴールに押し込みリードは3点に。 この後も途中出場の選手たちが次々にゴールに絡む。後半41分にはFW右京竜篤(3年)の左サイドからのクロスに対して「あそこからファーはないなと思って、ニアで決めました」と布施がうまくニアサイドに入り込み、自身2点目となるゴールを決めて4点差。後半45+2分には、MF中村柊真(3年)のパスを受け、ゴール前に顔を出したボランチMF平川陽斗(3年)がゴールを決めた。5-0と聖光学院に圧勝し、自力で13年ぶり2回目のプレミアリーグプレーオフ出場を決めた。 今年の聖和学園は安原、鈴木を軸とする攻撃陣のタレントが豊富で、プリンスリーグ東北序盤から順調に勝利を積み重ねていた。ところが5月に安原が右足すねの疲労骨折、鈴木が左足の肉離れで離脱し、6月の高校総体宮城県予選は準々決勝・東北学院高戦で敗れ、インターハイ出場はならなかった。その後も安原、鈴木はなかなか復帰できず、苦しい戦いを強いられた。8月31日のリーグ戦再開後は、第12節で仙台ユースに0-6と大敗を喫し、第13節・仙台育英高戦も0-1で敗れ、一時は圧倒的な勝点差だった山形ユースの猛追を受けた。 そうした中「代わりに出た選手がたくさん経験をできて踏ん張れました」と振り返るのは加見成司監督だ。この日、2ゴールを挙げた布施は、鈴木が不在の中、1トップとして奮闘してきた選手だ。 「チームでの連係や、やるべきことが分かってきたので、それを生かしています」と語る布施は大きく成長した一人。この他、この試合で安原に代わってトップ下に入り、多くの決定機に絡んだMF小杉唯斗(2年)や、4点目のアシストをした右京、この試合はボランチで先発したMF天野浬玖(3年)など、多くの選手が成長した。 選手層が厚くなったチームはリーグ終盤、第14節・ブラウブリッツ秋田U-18戦に逆転勝ちし、第15節・青森山田高セカンド戦や第16節・山形ユース戦で引き分け、着実に勝点を積むことに成功した。キャプテンDF菅原拓也(3年)は「ケガ人が多くても一人一人ケガ人のためにという気持ちがありました。負けて苦しい時期も話し合って目標を見失わずにできました」と語る。苦しい時期も一体感を持って成長著しい2年生も含めて全員で戦えて、13年ぶりにプレーオフの切符を勝ち取った。 「2枠あるうちの2つ目に入れましたが、まだまだこれだと勝負にならないので、まだ伸びないといけません」と加見監督はプレーオフを見据えて、さらなる成長を促そうとしている。そして、迫ってきた選手権宮城県予選を前に安原と鈴木が復帰したことは大きい。「今まで以上に強度を上げて、本気で全国を取りに行きたいです」と意気込むキャプテン菅原。宮城県予選は準々決勝でインターハイ全国ベスト16の仙台育英との対戦が見込まれるなど難しい戦いとなるが、リーグ戦の勢いそのままに選手権でも全国大会出場、そしてその先の頂点を狙う。 一方、前半守備で踏ん張りを見せた聖光学院・山田喜行監督は「選手権を見据えて、勝ち上がれば尚志高と当たるので、そういったチームと戦えるようなゲームをしたい」と尚志を仮想して試合に入り、ある程度その成果も見せられた。ここまでプリンスリーグ東北は1分16敗と苦しい戦いとなったが、「17試合通じて決定機を決め切れていません。決定機を増やせているところは成長を感じています。あとは点を取れるように精度を上げていきたいです」と、選手権福島県予選に向けてさらに攻撃に磨きをかけ、全国を目指す。 (取材・文 小林健志)