北海道新幹線 “2030年度末は断念” 国交相に正式報告 札幌延伸めぐり「極めて困難」 数年遅れの見通し 理由は巨大な岩塊と残土… 人手不足も背景か
UHB 北海道文化放送
「2030年度末の開業が極めて困難という判断に至った。数年単位の遅れと理解してもらいたい」(鉄道・運輸機構 藤田耕三理事長) 北海道新幹線、札幌延伸の建設を進める鉄道・運輸機構。 目標としてきた2030年度末の開業を断念すると5月8日、斉藤国交大臣に正式に伝えました。 「(トンネルからの)発生土の受け入れ地の確保が難航し、工事の着手に遅れた工区がある。予期せぬ巨大な岩塊に遭遇に掘削に難航している工区がある」(鉄道・運輸機構 藤田耕三理事長)
整備計画決定から43年、新函館北斗と新青森が結ばれ北海道にとって待望の新幹線開通。 東京まで最短で約4時間となり、観光にビジネスにと期待が寄せられ、当時算出された年間の経済波及効果は約136億円に上ります。
一方で2012年から着工した札幌延伸。 「(札幌延伸は)技術的に短縮可能5年以上ということ」(高橋はるみ 元知事) 当初は2035年開業を目標にしていましたが早期開業の期待が高まり、5年前倒しされました。
ルートは八雲町、長万部町から外国人に人気のリゾート地ニセコに近い倶知安町を経由。小樽市を通り札幌までの約212キロ。 北海道の試算では延伸の経済効果は約2兆5000億円に上ります。しかし高まる期待の反面で延伸には大きな困難が…。 区間の8割がトンネルを占め巨大な岩盤を取り除く作業が難航します。
倶知安町とニセコ町の間の羊蹄トンネルでは、工事が一時中断するなど想定より、最大で工期が4年も遅れました。 「札幌開業に遅れが生じないように全力で取り組んでいく」(秋元克広 札幌市長) 工事で発生する残土処理の問題も。 札幌と小樽を結ぶ「札樽トンネル」の工事では基準値を超えるヒ素や鉛などの重金属を含む残土の処分地をめぐり、周辺住民の反対で搬入先の決定にも時間を要しました。
さらに千歳市でのラピダスの次世代半導体工場建設工事で人手不足も指摘されています。 整備新幹線に詳しい専門家は…。 「日本の人口減少とか労働力不足がそのまま投影してる部分もある。即効的な解決策が出てくるのかどうか不安が強い」(青森大学(地理学) 櫛引素夫教授) 札幌延伸の開業目標は明確に示されていません。
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