イッセー尾形は70歳を超えても「遊びたい」、芝居にかける思いを語る
数々の映画やドラマで名脇役として活躍する一方、70歳を越えた今も精力的に一人芝居に取り組んでいるイッセー尾形。今年から装い新たに『イッセー尾形の右往沙翁(さおう)劇場』と名を変えた新作公演に向けて、イッセーが意気込みを語った。 【写真】現在71歳、お茶目なポーズを披露するイッセー尾形 行動も考え方もひと癖あるのに、不思議と「ああ、いそうだなこんな人」という共感を覚えるキャラクターを、老若男女問わず巧みに演じ分けていくイッセーの一人芝居。人間に慣れてない教師や、「職人のカン」のデータ化にとまどう職人など、現代の流れに翻弄される庶民たちをスケッチした、7本の新作短編を披露する。 「今の人たちは自我とわがままが一緒くたになってたり、『私はこう思うの』と言いながらも、実際は他人(の考え)を一人称として使っている人が多い気がするんです。そういうちぐはぐとした、ぬるっとした時代を表現したい」と意気込みつつも「やりたい放題でネタにはするけど、批判は絶対しない。批判自体がわがままだし、やった気になりますから。去年は『老い』というテーマに真面目に取り組んだけど、今年は遊びたいと思います」と、ライトに楽しめるものにするそうだ。 「新作は大阪で始めにおろす」と決めているというイッセー。それは大阪の人たちの「面白いことには乗りますが、つまんないと見向きもしない」というキッパリした反応が、作品の良きバロメーターになっているからだそう。 「登場人物と、お客さんが『いるいる、こんな人!』という風に思ってるものが合致しないとダメなんです。大阪でやると、ネタの弱いところが如実にわかるので、毎日台詞などが少しずつ変わると思います」と明かし「それで言うと今年は『ぬるっとした』という曖昧なものを、いかに具体的に、生きている人間として見せるかが大テーマ。『ぬるっとはっきり描く』って無理な話だけど(笑)、演劇だったらその無理もあり得るんじゃないかな? と思っています」と力強く宣言した。 公演は「近鉄アート館」(大阪市阿倍野区)にて、4月10日~14日の5日間。チケットは5500円で、2月4日から発売開始。大阪公演の後には、京都や神戸を含めた全国公演も予定している。 取材・文・写真/吉永美和子