【解説】歌劇団側“パワハラ”認めるも…遺族側の合意案に対しては「検討中」 宝塚・劇団員死亡
日テレNEWS NNN
宝塚歌劇団に所属していた25歳の女性が死亡した問題で、27日午後、遺族側代理人が会見を行いました。この中で、劇団側と遺族側で合意は今もできておらず、交渉は継続していることを明らかにしました。この問題について、詳しく解説します。
■これまでの経緯は…劇団側“パワハラ行為”「確認できず」から一転、認める
去年の9月、宝塚歌劇団の宙組に所属する25歳の女性が亡くなりました。自殺とみられています。 原因について、遺族側は「過重労働」と「上級生からのパワハラ」があったと主張しましたが、去年11月、歌劇団側は「過重労働」については認めたものの、「パワハラ」は確認できなかったとする「調査報告書」を公表しました。 これに対し、遺族側は翌月、“15のパワハラ行為”があったとする「意見書」を歌劇団側に提出しました。「上級生にヘアアイロンを額に当てられやけどしたこと」「上級生などから『下級生の失敗はすべてあんたのせいや』などと、繰り返し叱責されたこと」などがあったとしています。 その後、歌劇団側と遺族側が話し合いを続けるなか、劇団側は一転して、先月24日、「多くがハラスメントにあたる」と認めたということです。ただ、どの行為がハラスメントにあたるかは言及していないと、遺族側は27日の会見で明らかにしました。
■遺族側が求めたのは…3月中の「合意」、事実に即した「謝罪」と内容の「公表」
さらに、27日の会見で、遺族側は3月中に歌劇団側との合意締結に至ることを求めていると話しています。また、課題として、「歌劇団幹部と上級生の言い分にかかわらず、事実に即して謝罪すべき内容を特定すること」「合意書の中で謝罪した内容を公表すること」などを求めています。 これについて歌劇団側は、現在、合意した謝罪内容は公開しない案を示しているということです。
■「確認できなかった」とした劇団側…“初動対応”と“前言撤回”
この問題について、企業の危機管理に詳しい、桜美林大学の西山守准教授に話を聞きました。 藤井貴彦キャスター 「去年11月の調査報告書では、『パワハラは確認できなかった』と結論づけましたが、遺族側の27日の会見によると、一部についてはハラスメントに該当するとしました。歌劇団側のこうした対応を、どうみていますか?」 企業の危機管理に詳しい 桜美林大学・西山守准教授 「まず、2つの意味で間違っていたかなと思います。 1つめは、やはり初動対応で、まず何よりも遺族の方と向き合って、しっかり話をしておくべきだった、と思います。 2つめは、11月の記者会見でパワハラを認めなかったのを、(その後)覆して認めてしまうということで、前言撤回になってしまったわけです。 前言撤回をしてしまうと、やはり、歌劇団なり阪急側の主張が本当に正しいのかと、他のことに関しても疑念が生じてしまうという、大きな2つの間違いを犯してしまったというふうに思います」 藤井キャスター 「そうなると、去年11月の報告書に問題があった、とお考えでしょうか?」 企業の危機管理に詳しい 桜美林大学 西山守准教授 「やはり、一方的に上級生の方の意見を聞いて、“パワハラがなかった”と断定してしまったというところが、非常に不適切であったと思います。 もちろん、亡くなった団員の方や、他の団員の方々という発言もあり、LINE等の証拠もありましたので、そういったことを踏まえて、やはりしっかり調査して結果を公表すべきだったと思います」