富士急コースター事故、乗車時に身構えない姿勢にも原因 国交省報告書、注意喚起求める
富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)のジェットコースター「ド・ドドンパ」で令和2年12月~3年8月、乗客が頸椎を骨折するなどした12件の事故を巡り、国土交通省の昇降機等事故調査部会は28日、逆走を防ぐために改良したコースターの構造や、身構えずに乗車した乗客の前傾姿勢にも原因があったとする調査報告書を公表した。 報告書は、乗客が頭を座席につけて前傾姿勢にならないよう乗車前の注意事項を守っていれば事故を防げた可能性が高いと指摘。全国のコースター所有者を対象に、乗客が正しい乗車姿勢を保持できるよう注意喚起の徹底と周知を国交省にも求めた。 ド・ドドンパは5両編成で定員8人。スタートから1・56秒で最高時速180キロに達し、「最も速く加速するコースター」としてギネス世界記録に認定された「ドドンパ」の後継機として平成29年に登場した。 報告書によれば、事故で負傷した12人のうち6人が全長1・2キロのコース上にある縦回転ループ付近で「首を痛めた」と申告。大半が前傾か、うつむいた姿勢だった。 また、ループ付近で逆走するトラブルが3件相次いだことを受け、逆走防止対策として車両の浮き上がりを防ぐ車輪を1両につき2個から4個に増やして以降、事故が多発。乗車時に頭や首に作用する加速度と荷重が増大し、一般的なコースターでは採用されない空気入りタイヤを使用していたことも、人体への負荷を増す一因になったとみられる。 富士急は事故が発覚した令和3年8月以降、運行を休止し、今年3月に営業終了を決めた。