<球児よ、大志を抱け>センバツ クラーク記念国際 初勝利に向けて/中 兄らの悲願胸にプレーを /北海道
◇「粘りの打撃」四男にエール 昨秋は空知地区大会から明治神宮大会までの9試合37打席で三振はゼロ。攻撃の柱となる金原颯(そう)(2年)は信条とする「粘りの打撃」を体現した。少年野球でコーチした父佳さん(48)は「追い込まれても食らいつき、うまくバットに当てていた。三振した記憶はあまりない」と、幼少期のプレーを思い返した。 出身は宮城県大崎市。6人兄弟の四男で次男瑤さん(22)、三男塁さん(19)はともにクラーク記念国際の野球部員だった。瑤さんは2016年夏の甲子園メンバーで、中堅手としてプレー。家族全員がアルプススタンドから応援した。遙さんは足が速く、右打者から左打者にスイッチした。6人兄弟で左利きなのは颯だけ。佳さんは「私も左利きなので野球も教えやすかった。コピーみたいでした」。 久々にプレーをみたのは昨秋の全道大会決勝。この試合では六回に先頭打者として追加点の足掛かりとなる右前打を含む2安打を放った。全道大会ではチームトップ打率の5割2分9厘と、初優勝にバットで貢献。佳さんは「クラークでは佐々木啓司監督や佐々木達也部長からいい指導を受け、アベレージヒッターとして成長している」とプレーを見つめた。 センバツ初戦の相手は、明治神宮大会で敗れた九州国際大付(福岡)。その試合は三振こそしなかったが、相手の「手元で伸びるボール」に苦しめられ、3打数無安打。全国レベルの投球を肌で感じた。この冬は約1・5キロの鉄バットを使った振り込みを重ねた。 チームは3月上旬からセンバツに向けて本州入り。練習試合では打撃の安定感を買われ、1番打者として実戦の感覚を取り戻している。9日の大同大大同(愛知)戦では3安打と固め打ち。「どんなコースでも打てる打者を目指して甲子園に臨みたい」と調子は上向きだ。 佳さんは開幕日18日の試合に向け、6年ぶりとなる甲子園での観戦を予定。颯の活躍を楽しみにしている。三男の塁さんは20年の道独自大会の北北海道大会で優勝したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で夏の甲子園は中止となり、憧れの舞台に立つことはなかった。 佳さんは「甲子園は一つのプレーで人生が変わる場所。その場で試合できることを感じてもらいたい」とエールを送るとともに、「甲子園に出場できなかった先輩たちの意志を感じてプレーしてほしい」と願いを込めた。【三沢邦彦】