原廣利監督、自作映画『帰ってきた あぶない刑事』とのギャップに「情緒どうなってるの?と言われる」<朽ちないサクラ>
杉咲花が主演を務める映画「朽ちないサクラ」が6月21日(金)より公開される。同作の完成披露上映会&舞台挨拶が6月3日に都内で開催され、杉咲や、共演者の萩原利久、豊原功補、安田顕、そして原廣利監督、原作者・柚月裕子が登壇した。 【写真】大人の魅力全開…前髪を上げ、黒のドレス姿で登壇した杉咲花 ■映画「朽ちないサクラ」とは 本作は、「孤狼の血」「佐方貞人」「合理的にあり得ない」などでも知られる柚月による同名の小説を映画化した作品。 愛知県平井市在住の女子大生が、度重なるストーカー被害の末に、神社の長男に殺害される事件が発生。地元新聞の独占スクープ記事により、警察が女子大生からの被害届の受理を先延ばしにし、その間に慰安旅行に行っていたことが明らかになる。 県警広報広聴課の森口泉は、親友の新聞記者・津村千佳が約束を破って記事にしたと疑う。千佳は「疑いは絶対に晴らすから」といって立ち去るが、その1週間後に変死体で発見される。 自分が疑わなければ千佳は殺されずに済んだのに、と自責と後悔の念に突き動かされた泉は、自らの手で千佳を殺した犯人を捕まえることを誓う。 ■杉咲花「(萩原利久が)いてくれている日は救われた感じがありました」 イベントでは、森口泉役の杉咲が、満員の観客を前に「たくさんの方々が映画を楽しみにしていただいていると思うと、撮影が1年前なので懐かしさもありながら、ようやく皆さんにお届けできることが楽しみです」とうれしそうにあいさつ。 そして、季節と場所にこだわって愛知県蒲郡市で撮影した桜に触れて「自分の人生で見た中で一番美しい桜だと感じました。あの迫力がそのまま画に映し出されている気がします」と見どころに挙げた。 杉咲に続いたのは、泉のバディ的な存在となる年下同期・磯川俊一役の萩原。杉咲との共演は2度目となるが「実は一度目の共演は役柄上ほとんどお話をしていなかったので、共演は2度目なのに『はじめまして…』な不思議な感覚が最初はありました」と照れ笑い。 「今回は合間の時間にお話をさせてもらったけれど、僕はお喋りなので一人で喋っている気がして…。杉咲さんにうるさい奴だと思われていたらどうしようと、撮影が終わってから急に思いました」と不安を吐露。 これに杉咲が「本当ですか?全然そんなことないです」と気にしていない様子で「磯川は泉にとって生きる事と密接な存在なので、フワッと舞い込んできてくれる利久君が演じてくれたからこそ、肩の力が抜けていくような感覚がありました。いてくれている日は救われた感じがありました」と感謝すると、萩原は「良かった~。ホッとしました」と胸を撫でおろした。 ■豊原功補、原監督作「あぶない刑事」を意識 県警捜査一課の熱血刑事・梶山浩介役の豊原は、原監督が手掛け、本イベント開催時に公開中の映画「帰ってきた あぶない刑事」を意識して「僕は『あぶ刑事』に負けないくらいの刑事魂を、その熱さを」役柄に込めたとニンマリ。 また、主演の杉咲については「原作のデジャブかのような視線の強さ、凛とした佇まいがあった」と絶賛。杉咲も「撮影では目の前に立たれるだけで圧倒されて、自分の心がグラッとしそうになる瞬間もありました。いい緊張感をいただきましたが、今日は舞台あいさつ前に笑って会話をすることが出来てうれしかったです」と共演に喜びを見せた。 泉の上司で元公安・富樫隆幸役の安田は「杉咲さんとは世間話をしようと思って『昨日何食べた?いい天気だね?』と本番直前まで話しかけてしまい、集中力を欠けさせてしまったかも…」と反省しつつ「一緒に対峙して芝居するのが光栄でした」とリスペクトを明かした。 対して杉咲は「悲しいシーンや苦しいシーンが多い中、安田さんはご自身が映っていない場面でも目の前にいて同じ熱量でいてくれて、心がかき乱される瞬間があって助けられました」と信頼を寄せている姿を見せた。 ■原監督、『あぶ刑事』とのギャップに「情緒どうなってるの?と言われる」 「帰ってきた あぶない刑事」に続く長編映画監督作2本目となる原監督は、「『あぶ刑事』はふざけつつもポップに展開する映画だが、こちらは骨太なサスペンスミステリー。すでに見てくれた方からは、同じ監督とは思えない!情緒どうなってるの?と言われるが、それくらい違います。でも両方とも100パーセントの力を出して撮りました」と手応えを感じている様子。 一方、原作者の柚月は完成した本作について「映像ならではの魅力があり、演技、音楽、桜の美しさを大きなスクリーンで味わう感動と面白さがある。色々な意味で映画の素晴らしさを感じる作品」と太鼓判を押した。 ■安田顕、犬への愛情を“闇深”に熱弁 今回のイベントでは、本作のストーリーやキャッチコピーにちなんで「自分のここを信じて!」と自信を持って言えるものを登壇者たちが発表。杉咲は「10分前到着」と話したが、それに対して安田が「え?どうだろう?渋滞があったらどうするの?」と疑問を口にしたところ、会場からは笑い声が。すると、杉咲は「それは…あります。でも基本的には10分前到着です」と照れた様子で笑顔を見せた。 萩原は「一度好きになったものは割とずっと好きでいつづける。バスケ好きなのでNBAのウォリアーズを応援するのは裏切らないと思う」と宣言。豊原は「酒飲んだ後に後輩に作るメシはバズレシピには勝てそう」と手料理への自信を明かすと、これに萩原が「いつか食べてみたい」とおねだり。それを受けて豊原は「その代わり、朝まで飲むよ?」とオールナイトを予告した。 安田は「飼っている犬に向き合っている時の自分にウソはないです。人ほど不確かなものはない。信じるから騙される。人ほど不確かなものはないからこそ、色々なエンターテインメントが生まれるのであって…」と熱弁。すると豊原が「なんかあったの?」とすかさずツッコミを入れた。 ■杉咲花「自分は他者とどう付き合っていきたいのか問われる気がする」 イベントの最後に原監督は「この映画は、それぞれの正義が重なり合って事件が進みます。俳優部とスタッフと一生懸命作った渾身の『朽ちないサクラ』です。多くの方々に広げていきたいです」とアピール。 主演の杉咲も「捜査権限を持たない一人の女性が公安の闇に立ち向かう壮大なテーマの中に、人の機微が映し出された映画です。泉は大切な人を傷つけてしまい、そんな泉のことを好きにはなれない方もいるかもしれない。でも自分なりの方法で責任を取ろうとする姿を見つめた時に、自分は他者とどう付き合っていきたいのか問われる気がして、そんなことを考える2時間があってもいいのではないかと思いました。『朽ちないサクラ』を皆さんがどんな風に感じてくださるのかとても楽しみです」と観客たちのリアクションに期待を覗かせた。