クレーム殺到&警察ざたも…テリー伊藤が振り返る「不適切」なほど熱量があった“昭和のお笑い”
今年1月期のドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)がヒットして、にわかに注目が集まっている“昭和”という時代。天才プロデューサーと呼ばれたテリー伊藤さん(74)が手がけた名物企画も、今の時代なら眉をひそめられかねないほど過激なものばかりだった。【前編】では同ドラマがヒットした背景などを分析してもらったが、【後編】では自らの企画が原因でクレームの嵐になったり、警察ざたになったりしたという型破りなエピソードを語ってもらった。 【写真】「ふてほど」で大ブレイクした偏差値68の若手女優はこちら 【前編】<「不適切にもほどがある」昭和のテレビマンだったテリー伊藤が語る「ドラマのうまさ」と「物足りなさ」>から続く * * * テレビの企画に対する許容度が現在とはまったく異なっていた昭和の時代。テリーさんも今ならコンプライアンスに抵触しそうな番組を数多く生み出してきた。 「ムチャクチャな番組をいっぱい作りましたよ。たとえば、元ボクサーのたこ八郎さんに東大生の血を輸血したらIQは上がるのかという実験とかさ」 文字にするだけでも本当にムチャクチャな企画だが、IQはどうなったのか。 「上がるわけないじゃないですか(笑)。そのうえ、どこかの医師団体からクレームが来ましたよ。健康体なのに、輸血なんか遊び半分でしちゃダメだって」 逆にクレームだけで済んだのも昭和ならではかもしれない。テリーさんは昔を振り返りながら、こんな昭和特有の企画も語ってくれた。 「上野公園で寝ているホームレスをひっぱり出してきて、シャワーを浴びさせて、スーツ着せて、エリートサラリーマン風にさせて、東京都庁の前を歩かせたりとかさ。『ヒッピーからヤッピー(都会の知的エリート)へ』というのがテーマだったんですけど、放送後に、ある団体から『ホームレスをおもしろがっている』とクレームが来ました」
■警察には何度も呼ばれている さらに、テリーさんがプロデュースしていた「浅草橋ヤング洋品店」(通称・浅ヤン、テレビ東京系)では、かつて借金のある人から腎臓を買うという「腎臓売買ビジネス」を公言し、騒がれた実業家を取り上げたことがあった。 「スタッフが掃除機を持って行って、会長(実業家)がおカネをバラまくと、それを掃除機で吸い取ってくるというムチャクチャなことをやっていました。でもこれ、オンエアしているんですよね。他にも、メスのライオンを睡眠薬で眠らせて、スプレーを噴射して、黄色と黒の模様のトラ柄に変えたりとか。当時のサファリパークはそういうことをやらせてくれたんですよ。ただ、これも動物愛護団体からテレビ局にクレームが来ましたけどね」 もちろん、ただ過激なことをやることが目的ではなく、テリーさんが手がける番組はことごとく高視聴率をマークしていた。つまり、世の中もテリーさんの「過激な笑い」を求めていた部分もあるのだ。 テリーさんは1985年に独立し、テレビ企画制作会社「ロコモーション」を設立。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」(日本テレビ系)や「浅草橋ヤング洋品店」、とんねるずが司会を務めた恋愛番組「ねるとん紅鯨団」(フジテレビ系)などの数々のヒット番組を手がけた。 ヒット企画を連発するなかで、今では伝説となった過激な企画もあるが、クレームだけでなく、訴訟ざたになったことはないのだろうか。 「訴訟というか、警察に何度も呼ばれています」