漫画を読むと頭が良くなる…?日本の漫画が「最強の学習教材」である理由
漫画ばかり読んでいるとバカになる?
いまではとても信じられないことですが、ひと昔前まで「オトナが漫画を読むなんて……」という時代がありました。漫画はレベルの低い娯楽であり、漫画ばかり読んでいるとバカになる、と多くの人が信じていたのです。 【写真】講談社が「漫画の創り方」教えます…新たにスタートする「講座」の中身 しかし実際は真逆で、漫画を読むことで頭が良くなるのではないか…? そんな仮説もあります。早速検証してみましょう。 そもそも漫画は、絵と活字の組み合わせによって物語を伝えるメディアです。これらの要素が配置されたコマを1つの単位として、コマが多数組み合わさって物語が表現されます。 私たちは当たり前のように漫画を読むことができるが、漫画に使用されている文法、つまりコマを1つ1つ読み解き、頭で物語を再構成していく作業は、実は複雑です。上から下へ、右から左へ、縦横無尽に配置されたコマを「作者が意図した通り」に読み進めることが難なくできるのは、幼いころから漫画に慣れ親しんできた日本人だから可能な芸当ともいえるでしょう。 コマ割りを理解することは「コマとコマをつなぐ文脈」を理解することです。「主人公の顔」→「震える拳」というコマが繋がっていれば、「主人公のやるかたない心情」を読み取れる。セリフや構図と共に、コマとコマをつなぐ演出によって、物語はより深いメッセージを生み出すことになるのです。漫画の演出にこめられた機微、感情、テーマ、意図を読み解くと、漫画というコンテンツの奥深さがみえてくることでしょう。 漫画を学習に活用できないか、という研究もいくつか行われています。例えば、2016年発行の「教育メディア研究」に掲載された論文では、マンガを読解・解釈・鑑賞する活動を通して、メディアリテラシーを育成する学習プログラムの有効性について論じられています。このプログラムでは学生たちが手塚治虫に関する小論文を読み、そのあと実際に手塚治虫の漫画作品を読むことで、小論文に対する深い理解を得られたという結果が示されています。