制球に悩んだ末の変則投法 鶴岡東の背番号18が日本航空石川を翻弄 交流試合
2020年甲子園高校野球交流試合は第5日の16日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われ、第3試合で鶴岡東(山形)が日本航空石川を5―3で破った。 【一進一退の攻防】鶴岡東vs日本航空石川の熱戦を写真特集で 投球モーションに入った途端、背番号の「18」が空を向くほど背中をかがめ、体の横から一気に左腕を振り抜く。鶴岡東の先発左腕・阿部は、左横手という珍しいフォームなうえに、昨秋の公式戦で登板がない。手玉に取られた日本航空石川の主将・井口は「まさか(の登板)だった」と驚きを隠せなかった。 制球難を克服しようと、1年秋に上手から改めた変則投法が威力を発揮した。打者から見えにくいリリースポイントが、130キロにも満たない直球を一層速く見せた。さらに緩いスライダーとのコンビネーションで打者を翻弄(ほんろう)。時折、上手から投じる90キロ台のスローカーブも効果的だった。 二回に自らの悪送球で3点目を失い、なおも無死二、三塁のピンチを背負ったが、1番・井口から続く左打者3人をスライダーで三振、三邪飛、三振に仕留めた。いずれも打者がボールを迎えにいき、右肩が開いた力感のないスイング。2番の天羽は「直球に合わせて打点を前にしたが、タイミングがつかめなかった」と嘆いた。 「慣れてきた」という三回以降は緩急自在に球をコーナーに散らし、7回3失点。八回からはエース番号を付けた右腕・太田が救援し、逃げ切った。 継投が必勝パターンの鶴岡東。「複数の投手を使うことでチームが活性化する」という佐藤監督が目指すのは、エースだけに依存しないチームだ。「一番頑張っていて、調子が良かった」選手を先発に起用し、阿部も「うれしかった」と意気に感じてしっかり試合を作る。高校野球の見本となる戦いぶりを、甲子園で示した。【石川裕士】 ◇最終日もライブ中継 ニュースサイト「毎日新聞」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/)と「Yahoo!JAPAN」が運営する「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)で展開する「センバツLIVE!」では、センバツ交流試合の全16試合をライブ中継します。センバツLIVE!は、パソコンやスマートフォンで、いつでもどこでも無料でお楽しみいただけます。勝負の裏側に迫った最新のニュースや写真特集など、試合の情報が盛りだくさんです。センバツ交流試合にどうぞご注目ください。