北村匠海さん「自分も、周りの人も、愛せている自分がいるのを感じています」。北村さんが“愛される理由”とは?
共演俳優、監督、スタッフ……現場を共にした人が皆、口にする彼への愛とリスペクト。「北村匠海はなぜ、こんなにも多くの仕事仲間から愛されているのか?」その実力への信頼はもちろん、人柄でも周りの心を惹きつける、北村匠海の魅力に迫る。 【写真】北村匠海さん
全方位モテにはワケがある 北村匠海が「愛される理由」
相手のいいところだけを見る 人と向き合うときに大切にしていることがあります。それは「相手のいいところだけを見る」こと。人間って良いところだけでなく悪いところもあってその両方を愛するのはとても難しい。それだけでなく、相手を愛せない、自分のことも嫌いになってしまうことだってある。だったら、良いところだけ見ればいい。自分の中に入れるものは取捨選択してもいいと思う。それもまた、愛する努力のひとつな気がします。ただ、そんな努力をしていても「それは見たくなかった」と思うような部分が見えてしまう瞬間もあって。そんな時はものすごい勢いでシャッターを下ろしてしまうんですけどね(笑) どこかにいる誰かの幸せを願う 自分たちが作り上げたものが誰かの人生を変えることもある。それがエンターテインメントだと思うから僕らの仕事は、自分よりも誰かの幸せを願えるほうが健康なのだと思う。ただ、自分が幸せでないと、他人を幸せにはできないから。この仕事を続けることができている僕はきっと幸せに生きることができているのだと思う。 北村匠海が思う「愛される人」 「愛される人」とは「自分を愛することができる人」だと思います。ただ、その「愛する」がとても難しくて。僕自身、少し前まで、それが上手にできなかった。自分では「人が好きだ」と思っていたのに「匠海って他人に興味がないよね」と周りから言われたこともあったりして。振り返ると、確かにそうだったのかもしれないです。以前は目の前の仕事と向き合うことにただただ必死で、自分のことも、周りのことも、大切にする余裕がなかったのだと思う。そんな僕が変わるきっかけになったのが、新型コロナウイルスの影響で意図せず訪れた空白の時間です。走り続けていた足をそこで初めて止めたとき「うわ、太陽ってこんなに暖かかったっけ」とか、自分がいろんな大切なものを忘れていたことに気づいた。ゆっくり自分と向き合って、いろんな価値観が変わった。今も昔も、基本的に僕は自信がないのだけれど、自己受容というか、欠点も含めた自分自身を受け入れることができるようになった。今はちゃんと、自分も、周りの人も、愛せている自分がいるのを感じています。 嫌いだった自分を好きになれた 「自分の好きなところはどこか」と聞かれたとき昔は「いい仲間に囲まれていること」と答えていたのですが、今はそこに「完璧じゃないとこ」が加わりました。昔はテキトーな自分が嫌いだったし周りから「テキトーだな」って思われるのも嫌だった。「何事も匠のようにこなせるように、海のように広い人間になって欲しい」という思いで両親がつけてくれた“匠海”という名前を勝手に背負うような気持ちで、「完璧でありたい」と思っていたんです。でも、今は「完璧じゃないもの」も素敵だと思えるようになりました。今も変わらず完璧を求めてしまう自分はいるけれど、完璧じゃない自分も愛し始めている、そんな自分を感じています。 ●俳優 北村匠海1997年11月3日生まれ。映画『君の膵臓をたべたい』で注目を集める。昨年は『東京リベンジャーズ』シリーズやNetflix実写ドラマ『幽☆遊☆白書』が大きな話題に。4人組バンド「DISH//」として音楽活動も続けマルチな才能を発揮中。 ●INFORMATION 日曜劇場『アンチヒーロー』 日曜夜21時~放送中 99.9%と言われる日本の刑事裁判での有罪率。残り0.1%に隠された「無罪の証拠」を探し依頼人を救うのではなく、たとえ証拠が100%そろっている犯罪者であろうが無罪にしてしまう“アンチ”な弁護士(長谷川博己)。北村さんはそんなアンチな弁護士の同僚弁護士を熱演。「正義とは?」「悪とは?」考えさせられる逆転パラドックスエンターテインメント! MAQUIA 6月号 撮影/森山将人〈TRIVAL〉 ヘア&メイク/佐鳥麻子〈C-LOVe〉 スタイリスト/鴇田晋哉 取材・文/石井美輪 企画・構成/萩原有紀(MAQUIA) シャツ ¥139700、パンツ ¥156200/ステラ マッカートニー(ステラ マッカートニー カスタマーサービス) リング ¥53790/トムウッド(トムウッド 青山店) ※本記事掲載商品の価格は、税込み価格で表示しております。