「月光仮面」好評の戦闘シーン誕生秘話 大瀬康一が語る、七転八倒の撮影現場
気配りの人、船床監督のおかげでまとまっていた現場
―― こういう番組にお門違いな要求をされても困りますね。しかし船床監督のお人柄で、この大変な現場がまとまっていたんですね。 そうですね。けっこう気を遣う方で、カメラマンもベテランの方だったので、監督は凄く配慮してました。そんな監督のおかげでスタッフみんなが文句も言わずに早朝から深夜まで働いていました。まあそのせいで皆からだを悪くして、早くしてバタバタと倒れて逝ってしまいましたね。 ―― 船床監督は1972年になんと40歳の若さで鬼籍に入られました。 私は船床さんと出会った頃はお互い独身で、その後に奥さんと結婚されてお子さんも生まれて、それをずーっと見守ってきたんですが、ああいう人がもうちょっと長生きしてくれたら、また何か面白いものが生まれたのでは、と思います。もう少し予算や機材が揃う現場であったら、またさらに新しいものを作り出してくれた気がして、残念ですね。 ―― そんな気配りの人である船床監督と爽やかな大瀬さんが現場でぶつかることはなかったんですか。 さすがに一緒に長いことやってると、お互いの癖も出てきて多少はそういうこともあったでしょうが、そもそも役者は同じ企画をずっと長くやっていると飽きるんです。『月光』みたいに同じ衣装で、筋もそう変わるものではないと、本当に飽きるんですよ(笑)。でも船床さんのような度量の方だからおおむね順調だった記憶しかありません。(連載第7回へつづく) (映画評論家・映画監督 樋口尚文) ■大瀬康一主演、TVシリーズ「隠密剣士 第五部 忍法風摩一族」(全13話)が10月5日(金)午後2時~、時代劇専門チャンネルにて放送開始。※再放送は翌週金曜あさ8時~。