絶対に関わってはいけない! 「偽アカウント」超速解説
――Googleの検索結果として表示される投資系のサイトはどうでしょう? 三上 これは広告になります。詐欺グループがGoogleに出稿して表示させています。これらは【株式】や【投資】など検索されることの多い「ビッグキーワード」で表示され、その出稿費用は1クリック100円を超えることも珍しくありません。それほど投資詐欺は儲かる案件となっており、昨年の被害総額はロマンス詐欺との合計で455億円を超えるほどです。 ――では、これらの投資詐欺の具体的な手口とは? 三上 例えば、SNSの偽アカウントをフォローした場合は、即フォロー返しが来て、LINEグループへ誘導されます。そこに有名人の偽者が登場。LINEグループ内は全員が詐欺グループの人間で、有名人の偽者に対して「儲かりました!」「予想的中ですね!」と感謝コメントを連発する劇場型で進行します。この話に興味を持ったターゲットを「偽サイト」や「偽アプリ」に誘導します。 ――偽のアプリやサイトはどのような役割を? 三上 内容的には、証券アプリやサイトになっています。詐欺グループの指示に従い証券口座に入金すると【収益が発生】したことがアプリ内で偽装表示されます。特徴的なのは、1、2回はアプリ内の収益を出金できること。しかし、それ以降は理由をつけられ出金ができなくなり、最終的には連絡が途絶えます。 ――どのような世代がターゲットにされているのですか? 三上 40代から50代の中高年です。私が取材した被害者には、中高年で日常的にスマホを使い、オンライン口座を持ち、すでにNISAなどを運用している人たちもいました。これまで振り込め詐欺は、スマホやオンライン口座を使わない高齢者をターゲットにしてきましたが、それとはまったく違う層をターゲットにしているのも特徴です。 ――ここまでお話を聞きますとXやフェイスブックのMetaなど、SNSの運営側の対応も足りていない感じもするのですが? 三上 そのとおりだと思います。私はSNS上で偽アカウントを発見した場合、それが偽アカウントであることをアプリ内からプラットフォーム側へ【報告】をします。しかし、それに対し「問題のないアカウントでした」と返ってきました。正直、ずさんなチェックしか行なっていないのは明白です。 一方、偽アカウント被害に遭った有名人たちは、公式HPやメディアに出演して常に注意喚起を行なっています。そもそも本物の有名人はリアルな知り合い以外にフォロー返しを行ないません。フォロー返しされた時点で偽アカウントであり、そこからLINEに誘導されたら"投資詐欺確定"です! ――Google検索で表示される"有名人監修"をかたったサイト。これに対するGoogleの対応は? 三上 何もありません。詐欺被害が増えているにもかかわらず、現在でもこのようなサイトが検索結果として表示されています。Googleはお金をもらって詐欺グループの広告を載せているわけですから、このまま対応をしないのは"実質詐欺幇助(ほうじょ)"ともいえるでしょう。これに関しては、日本政府がプラットフォームの広告に関する法整備を急ぐしかありません。 そして、われわれユーザーは偽アカウントなどを発見したら、【報告】を行なうこと。多くのユーザーが【報告】を行なうことで、プラットフォームの対応も変わるでしょう。そして、面白がって拡散するのは絶対にやめてください! ――偽アカウントやフェイクニュースに関する最新情報は、「日本ファクトチェックセンター」のHPからも配信されているので、そちらの確認も忘れずに! 取材・文/直井裕太