参入3年で売り上げ3倍 従業員10人、山あいの町工場の挑戦 広島
板金加工のイタキシートメタル(広島県東広島市)が、半導体製造装置の部品製造に参入し、生産を軌道に乗せている。かつては船舶の部品の製造が主力だったが、九州で半導体関連の設備投資が活発化しているのを追い風に、売り上げを伸ばしている。 【画像】従業員10人の町工場 製造するのは、半導体製造装置の外骨格。鉄板や金属パイプを切断、溶接するなどし、一辺が2~3メートルの箱型に仕上げる。広島市内の機械メーカーで、半導体の基板を作るためにシリコンをカットする切断機などの装置が組み込まれ、九州の半導体工場に納められるという。 同社の工場は幹線道路から離れた山林の中に位置し、従業員は10人程度。奈尾謙一社長は「こんな場所にある小さな会社でもチャンスはある」と、自信を見せる。 親会社のイタキ電機(同)とともに、船舶の電気系統の制御盤を主力商品としていた。新型コロナウイルスの影響などで受注が減少し、新しい分野への参入を決断。平板だけでなくパイプや角材など多様な金属材を精密に裁断できる、全長13メートルの大型レーザー加工機を約1億円で購入した。 2021年に金属加工の技術を機械メーカーへ売り込み、半導体製造装置の外骨格の受注にこぎ着けた。生産を順調に伸ばし、23年8月期決算の売上高は半導体関連を受注する前の約3倍になった。半導体関連が7割程度を占めるという。 奈尾社長は「半導体産業は進化していて、製造装置も最先端のものに変わっていく。対応できるよう常に感覚を研ぎ澄ませたい」と話す。
中国新聞社