損保ジャパン「出向制度は抜本的に見直す」 企業文化変革担当役員単独インタビュー
損害保険ジャパンで企業文化見直しを担当する酒井香世子常務執行役員が8日までに産経新聞の単独インタビューに応じた。4月の着任後に始めた現場との対話活動で、変革への手応えを感じていると強調。一方、2024年度に出向者による顧客情報の漏洩など新たな不祥事が判明したことについて「出向の制度は抜本的に見直す」と述べ、再発防止を強く誓った。 損保業界では23年度以降、企業向け保険のカルテルや中古車販売大手ビッグモーター(BM、東京)の保険金不正請求といった不祥事が相次いで発覚。損保ジャパンも金融庁から業務改善命令を受けた。 企業文化の変革に向け、同社は4月に「カルチャー変革推進部」を新設。酒井氏は同部署を所管する役員で、役員が7月末までに全国の300部店を回り、社員3500人と話し合う場を設けたという。過去にも同様の仕組みはあったが、参加者数や頻度が少なく、酒井氏は「今振り返ると形骸化していた」と指摘。今後は経営陣と現場の対話活動をより重視する方針だ。 金融庁から指摘された売り上げを過度に偏重する企業文化については「代理店の方を見ていて、顧客に向き合っていなかった」と振り返った。同社は06年度にも行政処分を受けており、酒井氏は「(不祥事とその反省を)風化させない、地道な取り組みの継続が必要だ」と強調。毎年11月を「振り返りの月間」とするなど具体的策も挙げた。その上で「ビジネスモデルが時代に合っていないと思えば、成功体験であっても思い切って変えることが必要だ」と刷新への意気込みを語った。(永田岳彦)