<掛布が語る>阪神が優勝するための条件
いよいよオープン戦も終わり、プロ野球の開幕が近づいてきた。評論家としての私の順位予想は、もちろん阪神が1位だ。本当に可能性があると考えている。 メッセンジャー、能見、藤浪、岩田と、先発が4枚揃っていて、そこに岩崎、岩本とオープン戦で結果を残した若手が5番手、6番手のポジションを手にした。現在、ファームで調整中のドラフト1位の左腕・横山も素晴らしく角度のあるボールを投げていて、上手くいけば交流戦前には1軍の戦力として出てくるだろう。信頼の置けるローテーション投手が揃うと裏のローテーションがなくなる。 6連戦で悪くても3勝3敗。よければ4勝2敗、5勝1敗と貯金の計算が立つようになってくる。心配だった中継ぎにも、出遅れている福原、安藤のベテランに加えて球威の戻ってきた松田や、強い気持ちを持った育成出身の左腕・島本らが存在感を示してブルペンの層も厚くなった。2年目の左腕、岩貞あたりを、そこにスタンバイさせても面白いのかもしれない。 対して巨人、広島には主軸の離脱が続出している。巨人もピッチャーがいない、4番も決まらない。広島もエルドレッドが離脱、ヤクルトも雄平が4番として頑張っているが、まだバレンティンが合流できていない。巨人は自力のあるチームゆえ、いずれ戦力を整えてくるだろうが、現状のチームバランスで言えば、阪神が一枚上だ。ライバルチームの戦力が整わない間に死角の少ない阪神が勝てるだけ勝っておかねばならないだろう。その有利差を活かした開幕ダッシュがペナントの明暗を分ける。4月は、最低貯金「5」が優勝への条件だと考える。そのカギを握るのは打線だろう。 西岡をどこで使うか。島谷にどこを打たせるのかという問題である。和田監督は、オープン戦最後の3連戦で組んだオーダーで臨む決意をメディアに明らかにしているが、私は「1番・鳥谷」には反対意見を持っている。1番という打順は、年間の打席数が3番に比べてぐんと増える。そして機動力を要求される。そうなると34歳の鳥谷がコンディションを維持しながらフルイニング出場することが難しくなる可能性も出てくる。 昨秋、鳥谷が海外FAを行使した際に、その穴を埋めるためにチームは慌てることになったが、もし鳥谷がアクシデントで離脱するようなことにでもなれば、チームは優勝争いに参加する権利を失う。そういうリスクを減らす意味でも、私は、昨季固定して結果の出た「3番・鳥谷」「4番・ゴメス」「5番マートン」のクリーンナップで臨むべきだと考えているのではあるが、現場が、もう「1番・鳥谷」で行くことを決断したのならば、ポイントは「3番・西岡」「4番・ゴメス」の出来だろう。