巨人・中山礼都の〝想定外〟弾、弱点の内角直球を攻略 DeNA戸柱のデータに基づく緻密なリードがアダに CSファイナルステージ第5戦
セ・リーグ優勝の巨人は20日、3位DeNAとのクライマックスシリーズ（CS）ファイナルステージ第5戦（東京ドーム）を制し、3勝3敗（巨人にアドバンテージ1勝）のタイに戻した。値千金の決勝ソロを放ったヒーローは、プロ通算0本塁打の中山礼都内野手（22）。若武者の成長が相手バッテリーを上回った。 【写真】巨人・中山をハイタッチで迎える阿部監督 DeNA2番手の山崎の替わりばな、5回先頭で打席に立った中山は2球目の内角高め147キロをシャープに振り抜き、右翼席中段まで運ぶ完璧な一発で均衡を破った。虎の子の1点を継投で守り切って日本シリーズ進出に逆王手となり、お立ち台では阿部慎之助監督（45）ばりに「最高でーす！！」を連発した。 チームは初戦からまさかの3連敗中、わずか2得点と打線が沈黙。テレビ中継のゲスト解説で来場していた、広島・秋山は苦戦の理由を選手目線で次のように読み解いていた。「DeNAが正捕手の山本に続いて伊藤まで故障離脱したことで、先発マスクをかぶっている戸柱のリードに巨人打線が戸惑っている。捕手が違うと、同じ投手でもカウント球の選択が変わるから。そして戸柱はデータを生かした配球を間違えていない」 ところが、データに基づく緻密なリードがこの日はアダに。「山崎はリード通りに投げ切っていた。（中山は）前はパワーがなくて直球を内側に投げておけばOKの打者だったのに」とDeNA側は歯噛み。中山は今季32試合出場とデータのサンプル数が少ないうえ、若武者ゆえの急成長は測り切れなかったわけだ。 本人は「ずっと長打を課題にやってきて、強い真っ直ぐを弾き返せたのは自信になる」とうなずく。プロ入り直後は70キロ台前半だった体重が、ウエートトレーニングを重ねて80キロ台まで増量し、「筋肉量も増えてスイングスピードも上がっている」と成長を実感。9月の再昇格後は24打数11安打の打率・458と打ちまくり、肋骨骨折の吉川の代役の座をつかんだ。 3連敗の崖っぷちから3連勝でCS突破となれば、巨人最後の日本一の2012年以来となる大逆転劇。最終決戦でも中山の〝想定外〟の打棒が輝くか。 （片岡将）
