エジプト騒乱、落としどころは?/暫定政府とムスリム同胞団の出方に注目
双方が譲歩できるか
今後の焦点は、一旦ムチ(強制排除)をふるった暫定政府が改めてアメ(対話への呼びかけ)を差し出すか否か、そしてムスリム同胞団が最大限の要求(モルシ政権の復権)を諦めて最低限の利益(暫定政府との対話を通じた新体制への関与)を選び取れるか否か、にあります。いわば、双方が部分的に譲歩できるかがカギになります。 ただし、楽観はできません。エルバラダイ氏が去ったことで、暫定政府内部の穏健派は柱を失いました。ムスリム同胞団にしても、多くの幹部が拘束されて統率力を低下させているため、例え対話に向かうとしても、激昂する末端の支持者を抑えることは、容易ではありません。 のみならず、合法的に政権を獲得しながらも、それを軍事力で否定された不満が暴発したことで、アル・カイダなど過激派の勢力拡大も指摘されます。そして、過激派が台頭するほど、その取り締まりを名目に、暫定政府の中核を占める軍は、自らの支配を正当化しやすくなります。これらに鑑みれば、エジプトが本格的な内乱に陥る可能性は、決して小さくないのです。