TSMC進出、農地減少で「循環型農業」への影響懸念 熊本県、菊池地域の畜産の将来構想を策定へ
熊本県は畜産農家の営農継続を意識した菊池地域の将来構想の策定に乗りだす。半導体企業の集積で農地が減少し、堆肥を使った飼料生産に多大な影響を及ぼす事態を懸念。家畜排せつ物の適正な処理や利用を含め、具体策を盛り込んだ構想を2025年度末までに取りまとめる。 TSMC関連ニュース
県は今年5月から7月にかけて、酪農や肉用牛の肥育が盛んな菊池市、合志市、大津町、菊陽町の農家100戸を調査。半導体企業集積に伴って、農地の売買や賃貸契約の解除が進み、飼料畑が減少。計119ヘクタールが影響を受けていることが分かった。畜産農家の約3割は排せつ物や堆肥の処理に懸念を示した。 県畜産課は「循環型の農業が困難になっていく恐れがある」と判断。地元自治体や農家の意向に沿った将来構想を策定することにした。処理施設の整備といった対応策を明記し、農家の経営を後押しするという。 今月29日に開会する定例県議会に提出する24年度一般会計補正予算案に、「畜産営農継続検討事業費」1200万円を盛り込む。 構想策定に向け、24年度中に農家の再調査に着手。現状や要望をさらに細かく把握する。(馬場正広)