俳優・石橋静河が愛用する、定番のファッションアイテム
SPUR.JPの連載「あの人のお気に入り」第4弾となる今回は、ドラマ、映画、舞台など数々の分野で活躍する俳優の石橋静河さんが登場。演技と身体表現に真摯に取り組み、ファッションについてもまっすぐな哲学を貫く彼女の、エッセンシャルな名品&定番アイテムとは? 【写真】石橋静河さんの愛用アイテムをもっと見る
作り手の誇りが見えるアイテムが、自分の心を喜ばせ、自信をくれる
「心地よく、なおかつ自分に自信が持てる服というものがだんだんわかってきたような気がします」と語る俳優・石橋静河さんは、まもなく30歳。「20代前半は悩み多き時期だったかな。自分がどう見られるかをすごく気にしていました。目立つのが嫌で、地味な服ばかり着ていた記憶があります」と振り返る。 世間の目を振り切ることができたのは、意外にもコロナ禍がきっかけだったという。「世の中がこんなに大変なのだから、明るい色の服を身につけて、せめて自分の気持ちを上げないと。そう思ってから、自分が心からうれしいと感じるものを身にまとうようになりました」。好きなものに対して素直に、自由な着こなしを楽しむ。そのことがなによりも自分に自信をくれることに気づいた。 話題沸騰中のNHKドラマ10『燕は戻ってこない』は、「代理出産」「女性の貧困」など、現代社会の問題を浮き彫りにしたディストピア的ストーリー。石橋さんは主人公の大石理紀役を演じ、視聴者の心を鷲掴みにした。20代の最後に取り組んだ新たな代表作について「誰の評価も関係なく、自分の心からいいと思う作品に出合えて、やり切った。胸を張って30代になれる、という気持ちでいます」と、晴々とした表情を見せる。大きな仕事に向かう時は心を奮い立たせる服を、終えた後は、自分を喜ばせる服を購入するのだそう。 表現者として、ものを生み出す現場に身を置いてきたからこそ「この一着を作るために、どれだけの労力がかかったのだろう」と想像できるようになったと石橋さんは言う。「だから、作る人たちの誇りが見えるものが好きです。クラフツマンシップが息づくファッションアイテムは、長く着られて肌に馴染むように思います」。 今回、紹介してくれたアイテムは、そんな石橋さんの現在地を示すもの。風通しのいい場所に立ち、自分自身の輪郭をしっかりと描き出すような、意思あるスタイルが表れている。