南海トラフ地震で大津波想定、徳島の少年サッカーチーム 練習時の避難マニュアル作成、定期訓練で備え
南海トラフ巨大地震から命を守るため、海陽町の小学生サッカーチーム「Fun FC」が練習時の避難行動マニュアルを基に、定期的に避難訓練を行っている。避難マニュアルは、津波警報が発令された際、保護者不在でも近くの緊急避難場所へ逃げられるよう、高間直也監督(51)=同町大里、介護士=が作った。 非常用持ち出し袋(防災セット)を用意していますか? その中身は?【あなたとともに~読者アンケート】 毎週火曜と金曜に、同町浅川の旧浅川小学校のグラウンドで同町や牟岐町の小学1~6年生約25人が練習している。監督とコーチが付き添い、最大6人態勢で指導に当たっているが、監督1人の時もある。 県が2012年に公表した浸水想定によると、グラウンドには5~10メートルの津波が予想される。避難マニュアルでは地震発生時、高間監督が震度や津波の有無について情報を集め、津波警報が発令されれば、最も近い避難場所の観音庵(高さ14・6メートル)に向かうと明記している。 17日、高間監督とコーチはチームのメンバー17人に告知せず避難訓練を実施。「家屋倒壊で住宅街を通る最短ルートが使えなくなった」との想定で、子どもたちは監督の指示に従いグラウンド中央に集合した後、高学年と低学年が2人1組になって列を組み、国道沿いを小走りで移動した。 観音庵到着に要した時間は4分37秒。海南小6年の原楓真主将(11)は「ドキッとしたけど、低学年の子をリードしながら素早く避難できた」と話した。 高間監督は11年6月に東日本大震災で被害を受けた宮城県南三陸町を訪ね、約2週間、介護士として福祉避難所で高齢者らの生活支援に携わった。そこで、南海トラフ巨大地震への備えが必要と感じ、翌年に避難マニュアルを作成。少なくとも年1回は子どもたちと避難訓練を行っている。 昨年9月から、海陽町浅川の大砂海岸でビーチサッカーの練習を始めており、ビーチサッカー練習時の避難マニュアルも作成したいという。高間監督は「実際に津波が来れば、怖くて歩けない子がいるかもしれない。海が近い場所で練習しているので、日頃の備えを大切にしたい」と話している。