ジョナサン・グレイザー監督、ザンドラ・ヒュラーらが撮影の舞台裏を語る 映画『関心領域』
第96回アカデミー賞で国際長編映画賞・音響賞の2部門を受賞した、映画『関心領域』。この度、ジョナサン・グレイザー監督のこだわりを覗くことができる、本作の特別映像が公開された。 本作はイギリスの作家マーティン・エイミスの同名小説を原案に『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』のジョナサン・グレイザー監督が10年もの歳月をかけて映画化した作品。製作は、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』など多くの話題作を手がけ、近年の賞レースを席巻している映画スタジオ・A24。 原題でもある《The Zone of Interest(関心領域)》とは、第二次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉。映画では、アウシュビッツ強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしが描かれる。 この度公開された特別映像では、ジャミロクワイ「Virtual Insanity」のミュージックビデオをはじめ、印象的な映像で世間の注目を集めてきた稀代の映像作家ジョナサン・グレイザー監督が、並々ならぬこだわりを持って撮影をした本作の舞台裏が明かされる。 構想を練っている段階で、実在したアウシュビッツ収容所の所長である主人公ルドルフ・ヘスの暮らしを綿密にリサーチしていた監督は、家の様子をリアルに再現。さらに環境や演技にもリアルを追求し、通常の映画撮影では必須である照明を使用せず、そして演者にカメラを意識させないようカメラマンを排除。別室でモニターを確認しながら撮影を行った。 妻のヘートヴィヒ役を演じたザンドラ・ヒュラーは「過去の出来事と一人で向き合ってる感覚だった。あの家には言葉では表せない何かがあった」と独特な撮影方法が与えた感覚を振り返る。ジョナサン・グレイザー監督はそこまで突き詰めてリアルを求めた理由を「この話を現在進行形で伝えるためには、できる限り真実に近づくことが大切だった。観客には、彼らに自分の姿を重ねて見てもらいたい。彼らが望むものは私たちと変わらない。彼らに自分を投影することがこの作品の狙いでもあった」と語る。 映画『関心領域』は、2024年5月24日(金)より全国公開。 © Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.
otocoto編集部
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