トルコの反政府デモ、若者の情報源はSNS
5月末に始まったトルコの反政権デモ。エルドアン首相は「断固たる態度で臨む」とし、報道では1700人以上が拘束され、死者も出ていると伝えられている。しかしトルコの国内メディアは十分にデモを報道していないもようで、国民が頼りにしているのはCNNなどの海外メディアと、フェイスブックやツイッターなどのSNSなのだという。 「公表されている負傷者の数は絶対嘘だ」というのは首都アンカラに住む20代女性。身元が分かるのを避けるため氏名は明かしたくないという。 デモは若者が中心で、情報源はもっぱらフェイスブックとツイッターだ。原因は不明だが、SNSへの投稿が断続的に使えなくなる事象も報告されており、「政府が操作している」という噂も飛び交う。 彼女が利用しているフェイスブックでは、別のユーザーが投稿した動画が大きな反響を得ている。 警察が個人経営のお店に無理やり入るため、鍵のかかったドアを何度も蹴り、破壊しようとする光景を撮影したものだ。それに対し、「悪質で陰湿な我々の敵だ」や「私たちは国に税金払っているのに、国がやってることを見て」などと多くのコメントが付き、警察に対する不信感が募っているのが分かる。日本時間6月5日午後1時現在、約79,000の「シェア」、約5,900の「いいね」がついている。 デモについての情報を発信するフェイスブックのページはいくつかあり、それぞれが暴動の状況、暴動の後片付けをする様子、新しい情報などを共有している。別のページでは、6月2日にイスタンブールのタクシム広場にできた“支援の壁(wall of aid)”が紹介された。階段状の石の上に、市民が食べ物や飲み物、衣服、薬などを置き、必要な人が自由に取れるようにしている。 前述の20代女性は2日、バスの中から撮った写真を投稿した。アンカラで市役所に通じる道が「道路工事中」として通行止めになっている場面だ。「国内メディアは機能していないので、自分で発信していかないといけない。国内外の友人に、いま起きている事実を認知してもらいたい」と、彼女はフェイスブックに投稿し続けている。投稿することで自分の無事を知らせる意味もあるという。