【映画コレ見た?】ヴォルテックス 死の危険と隣りの日常
肌細胞はターンオーバーを繰り返すというけれど、最近は死んだ細胞より生まれてくる細胞が少ないと感じる。鏡よ鏡、わたしは今、もしかして朽ちていますか。 【写真】「沖縄は違う神様がいる場所」 新海誠監督インタビュー特別版 生まれた瞬間から朽ちていく万物の宿命に、あらがう方法をつい模索してしまう愚かな己が30年後生きていたとして、どんな風に心を保っているのか想像もつかない。そんな悩み、1ミリも感じない10代の若い肉体が目の前をピョンピョン跳ねて通り過ぎる。昔の私、もっと跳ねてた。脳裏を愚かな思考がよぎり、己をより傷つける。この葛藤に、いいかげんケリをつけないと、きっとやばい。 葛藤にケリがつかぬまま老いた男と、全てを忘れてしまった妻の、危険と隣り合わせの日常を描いた本作。2人の死期を観客が一番感じる。でも誰も、何もできない。これが現実で、そこには観客すらいない。 (桜坂劇場・下地久美子) ◇同劇場で8日から