「マジック:ザ・ギャザリング」最新セット「ファウンデーションズ」をいち早く体験!
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは、トレーディングカードゲーム(以下TCG)「マジック:ザ・ギャザリング」(以下、マジック)の新セット「ファウンデーションズ」を11月15日に発売する。「ファウンデーションズ」は、4年振りに登場する基本セット(マジックの基本的なカードを収録した初心者向けセット)であり、これからマジックを始めるには最高のタイミングだ。 【画像】ジャンプスタートやプレリリースキットを使った対戦が行なわれた 11月6日、「ファウンデーションズ」の発売を記念して、インフルエンサーやクリエイターを対象としたイベント「Magic Creator Summit 2024」(以下MCS 2024)が開催された。MCS 2024では、「ファウンデーションズ」でのプレイを一足先に体験することができた。筆者も参加することができたので、その様子をレポートしたい。なお、本イベントは招待制であり、参加者の顔写真の掲載許可などは得ている。 ■ 2029年までスタンで使える「ファウンデーションズ」。ビギナー・ボックスも新登場 イベントの様子を紹介する前に、このイベントの主題でもある11月15日に発売される最新セット「ファウンデーションズ」の特徴について簡単に説明しよう。 マジックには、多元宇宙を舞台とし、さまざまな次元を渡り歩く能力を持つプレインズウォーカーたちによる壮大なストーリーがあり、通常のセットはどれか一つの次元を舞台としている。しかし、「ファウンデーションズ」は、特定の次元に紐付いた製品ではなく、マジックの基本的なカードを収録した初心者向けの基本セットであり、過去に登場したカードの再録と新規カードから構成されている。こうした基本セットは、数年前まではほぼ毎年発売されていたのだが、2020年7月に発売された「基本セット2021」を最後に、しばらく発売が中止されていた。しかし、やはり基本セットがあったほうが、新たにマジックをはじめやすいということで、4年振りの基本セット「ファウンデーションズ」が開発されることになったのだ。 「ファウンデーションズ」は、その名の通りマジックの「基盤」となるセットで、従来の基本セットと目的は同じだが、新たな試みが行なわれている。それは「ファウンデーションズ」に収録されるカードは、スタンダードフォーマットで2029年まで使えることが保証されているということだ(さらに延長される可能性もある)。 マジックには、さまざまなフォーマット(利用できるカードの規定)が存在するが、スタンダードフォーマットでは毎年秋にローテーションが行なわれ、3年前から2年半前までに発売された4つのセットが利用できなくなる(スタン落ちと呼ぶ)。逆にいうと、発売から2年半から3年経ってしまうとスタンダードでは利用できなくなるわけだ(パイオニアやモダンなどのローテーションがないフォーマットでは利用可能)。 ローテーションには、カードパワーのインフレを防ぐ効果やプレイヤーの新規参入のハードルを下げる効果があるが、気に入っていたカードやデッキがローテーションで使えなくなるというデメリットもある。なお、スタンダードのローテションまでの期間は、以前は最長2年だったのだが、2023年から最長3年に延びている。「基本セット2021」までの基本セットは毎年夏に登場しているが、翌年秋にローテーションが行なわれるため、スタンダードでは1年ちょっとしか利用できないという問題があった。 そこで今回の「ファウンデーションズ」では、一気にスタンダードで利用可能な年数を約5年に延ばしたのだ。「ファウンデーションズ」で作ったデッキは長くスタンダードで利用できるため、マジックを始めたいという人や以前やっていたがまた復帰したいという人にはぴったりだ。なお、2029年まで利用できるというのはあくまで「ファウンデーションズ」だけで、その後発売が予定されている通常セットは、これまでと同じ最長3年でのローテーションとなる。 また、「ファウンデーションズ」以降は、戦闘ダメージの割り振りルールが変更され、攻撃側がより有利になる。以前は、攻撃側が攻撃クリーチャーの指定をした後で、防御側がブロッククリーチャーを指定し、その後、ダブルブロックされた場合など、攻撃側が戦闘ダメージを割り振る順番を決めていたが、今後は戦闘ダメージを割り振るのは実際に戦闘ダメージを計算するときに変更される。要するに、以前はブロッククリーチャーに戦闘ダメージを与える順番が決まってから、守備側がインスタントで「巨大化」などを撃って攻撃を受けることができたが、今後はそれができなくなる(インスタントが反映されてから戦闘ダメージを割り振る)。 「ファウンデーションズ」は、従来通り、プレイ用のプレイ・ブースター、コレクター向きのコレクター・ブースターが発売されるほか、よりカジュアルにプレイしたい人向けのビギナー・ボックスやジャンプスタート・ブースターも発売される。ジャンプスタート・ブースターについては、MCS 2024でも実際にプレイできたので、後ほど紹介したい。 また、「ファウンデーションズ」では、新たにビギナー・ボックスと呼ばれる製品が発売されることにも注目したい。ビギナー・ボックスはその名の通り、初心者がマジックのプレイを学ぶのに最適な製品で、テーマに基づくジャンプスタート・デッキが10種類と、早見表カードやガイドブック、遊び方ガイド2冊、2枚のプレイマット、スピンダウン・ライフカウンター2個から構成されている。ジャンプスタート・デッキは20枚のカードから構成されており、そのうち好きな2つを組み合わせることで、40枚デッキが完成する。ビギナー・ボックスを1つ買うだけで、マジックをこれまでプレイしたことがない人でも、2人で対戦を行なうことができるのだ。デジタル版の「MTGアリーナ」をプレイしていて、紙でも一度やってみたいという人にも、お勧めできる製品だ。 ■ インフルエンサーやクリエイター、プロプレイヤーなど約50人が集まった「Magic Creator Summit 2024」 MCS 2024は、今回初めて開催されるイベントで、マジック関連のインフルエンサーやクリエイター、プロプレイヤーなど約50人が招待された。場所は、秋葉原のレンタルスペース「アイデアの城」で、もともとファンタジー的な内装のスペースであり、マジックの世界観ともよくマッチしていた。 最初に、主催のウィザーズ・オブ・コーストの西岡英智氏から、「新セットの『ファウンデーションズ』を盛り上げていきたいので、協力をお願いします」と挨拶があり、参加者の自己紹介がスタートした。マジック界の有名インフルエンサーやマジックがテーマのコミック「すべての人類を破壊する。それらは再生できない。」の原作者、イラストレイターやプロプレイヤーなどさまざまな立場の方が参加していたが、共通しているのは、マジックが好きということであり、いち早く最新セット「ファウンデーションズ」を体験できるとあって、プレイが待ちきれない様子であった。 ■ 2パックを開けて混ぜるだけで対戦できる「ジャンプスタート」での対戦 まず、ジャンプスタート・ブースターと呼ばれる特別なブースターパックを使った対戦が行なわれた。ジャンプスタートのパックには、それぞれのテーマに基づいた20枚のカードが入っており(土地も基本土地と特殊土地あわせて8枚入っている)。パックを2つ開けて混ぜるだけで、40枚デッキが完成し、すぐに遊べるというものだ。 なお、ジャンプスタートは、「ファウンデーションズ」という名称ではあるが、カード左下に書かれている3文字のエキスパンション略称やカード中央右のエキスパンション・シンボルが「ファウンデーションズ」とは異なる。具体的には、「ファウンデーションズ」のエキスパンション略称はFDNだが、ジャンプスタートのエキスパンション略称はJ25となる。このJ25のカードは、同名カードがスタンダードで使える場合を除き、スタンダードでは利用できないので注意が必要だ(ビギナー・ボックスのジャンプスタート・デッキは略称FDNでスタンダードで2029年まで使える)。 テーブル中央に置かれた、ジャンプスタート・ブースターを2つ選んだら、パックを開けて混ぜてシャッフルするだけで、対戦準備は完了。まずは、対面の人と対戦を行う。筆者が選んだテーマ(もちろんパックを開けるまで中身は分からない)は、「武装」と「エンチャントの力」で、色はどちらも白であった。ジャンプスタート・ブースターは、異なった色の2パックを組み合わせてもちゃんと2色デッキとして成立するようにできているのだが、今回は白だけのデッキ(いわゆる白単)となった。 対面の相手と対戦を行なったところ、前半は先制攻撃を持ったクリーチャーが多い筆者が優勢で、一時は23-8まで差が付いた。このまま押し切れるかなと思ったのだが、相手のコンバット・トリックが炸裂し、こちらのクリーチャーが壊滅。その後、相手が飛行持ちクリーチャーを次々と盤面に投入し、逆転負けを喫してしまった。 ■ プレリリースキットを使ったシールド戦に挑戦 ジャンプスタートでの対戦が終了後、メインイベントともいえる、「ファウンデーションズ」のプレリリースキットを使ったシールド戦が始まった。プレリリースとは最新セットの正式発売日の1週間前から、マジック専門店などで開催される特別な大会で、一足先に最新セットを体験できるお祭り的なイベントだ。「ファウンデーションズ」のプレリリースは11月8日から始まるが、2日早く開催されたプレプレリリースみたいな感じだ。 プレリリースキットには、プレイ・ブースターが6パックと、レアまたは神話レアのプロモカードが1枚、スピンダウン・ライフカウンターが1個入っている。パックを開けて出てきたカードとプロモカードを使って40枚デッキを作り、対戦を行なうことになる。プレリリースは、発売前の新セットを使ってデッキを組むため、お互いカードの効果などがよく分からない場合も多い。今回のイベントでも、自分が場に出すカードを相手にしっかり見せて、説明しながらプレイを進めるプレイヤーが多かった。 マジックには5つの色があるが、シールド戦では2つの色を組み合わせるのが基本だ(3色で組む場合もある)。筆者は、黒と緑のレアが強いように思ったので、黒緑デッキを作って対戦してみたが完敗してしまった。プレリリースでは、使わなかったカードはすべてサイドボードとして利用できるので、2ゲーム目は途中から参加した娘に任せることにした。 娘は筆者のプレリリースキットから出たカードプールを見て、「赤青のほうが強いよ」といい、急遽組んだ赤青デッキで対戦を引き継ぐことになった。娘は小4からマジックをプレイしているので(マジック歴は10年、TCG歴は13年くらい)、筆者より数段上手なのだが、見事に2連勝で試合をひっくり返した。もちろん、今回のイベントは競技的な要素は無く、勝ち負けも記録せずに対戦を楽しむ交流会として企画されたものだ。 テーブル内での対戦が一通り終わったら、別のテーブルの参加者とも自由に対戦できるフリー対戦タイムになり、娘は鶴崎氏と対戦したが、鶴崎氏はプレイングも上手で、デッキもとても強く(プレインズウォーカーの「戦慄衆の将軍、リリアナ」入りのマルドゥデッキ)、全く歯が立たなかった。 ■ 対戦終了後は別室で立食パーティと豪華な抽選会が開催 シールド戦の終了後、19時からは別室で立食パーティと抽選会が行なわれた。立食パーティでは、参加者同士の交流を深めることができ、新たなコラボや繋がりなども生まれていたようだ。途中で新旧セットのブースター・ボックスやパックなどが当たる抽選会も行なわれ、さらに盛り上がっていた。 抽選会の賞品も豪華で、参加者全員に何かしらの賞品が当たるという大盤振る舞いであった。また、抽選会の賞品とは別に、受付時に参加賞として1人1パックずつ「ファウンデーションズ」のコレクター・パックも配られており、コレクター・パックを開封して、一喜一憂している姿もそこかしこで見ることができた。 ■ インフルエンサーやクリエイターの繋がりを深めるイベントとして有意義 今回のMCS 2024は、初の開催であったが、マジックをもっと盛り上げたいと思っている方が集まり、新セットでの対戦や立食パーティを通じて交流を深めることができたことは、有意義なイベントだったといえる。ポケモンカードゲームなどのトッププレイヤーも何人か参加していたが、TCGプレイヤーは複数タイトルを同時にプレイしている人も多く、TCGのタイトルの垣根を越えた交流も生まれやすい。筆者も、一度お会いしてみたいと思っていた方とも話ができて楽しかった(対戦自体は全敗なのだが)。今回で終わりにするのではなく、今後も定期的に開催されれば、マジックを広めるためのキーパーソン同士の繋がりや新たなムーブメントが生まれるのではないだろうか。 (C) 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HOBBY Watch,石井英男