「指示待ち部下」にモヤる上司の大盲点、「自発的に動く」ようになるシンプル解決法
部下が「言われたことしかやらない」と感じたら最初にすべきこと
部下が自発的に仕事を進めるようになる方法は、実にシンプルです。 それは、上司による明確な目標の設定です。明確というのは、「期限と状態」がはっきりしているという意味です。 悪い目標の例:「とにかく売り上げを伸ばす」 良い目標の例:「3カ月間で売り上げ1,500万円を達成する」 「とにかく売り上げを伸ばす」のような目標では、部下がある程度の成果を残した段階で、「このくらいでいいだろう」と判断してしまい、それを見た上司が口を出す流れになってしまいます。 そうではなく、「3カ月間で売り上げ1,500万円」のように達成可否が一目瞭然である目標にします。そして、目標をどうやって達成するかは部下に任せます。具体的な目標の設定によって指示を待つ余地が少なくなり、部下は適切なタイミングで報告を上げ、問題や不明点があれば相談してくるようになります。
なぜ「指示待ち部下」と「自発的な部下」で同じ対応をすべきか
指示待ちの部下とは対照的に、常日頃から積極的に業務に打ち込んで、結果を残している優秀な部下がいたとしましょう。このような部下には、自主性を尊重するためにも上司の管理は不要だと勘違いしてしまう方が多くいます。 しかし、それではいけません。どんなに優秀な社員であっても、先に述べた上司による管理は必要です。 上司による管理がされなくなった部下は、独自の判断で動き続けたために、いずれは会社が求めていない結果を出すようになったり、自らの立場を勘違いして不遜な態度を取ったりします。そんな社員を見た周囲から、「なぜあの人だけ特別扱いなのか」と不満の声が出て、社内の秩序が乱れてしまうでしょう。 部下が優れた力量の持ち主ならば、それをさらに伸ばしてあげれば良いだけです。求める基準を段階的に引き上げ、部下が継続的に成長していける環境を整備してあげるのです。それは上司にしかできません。
「何でも教えてくれる上司」が実は「優しくない」ワケ
部下に対して常に細かく指示を出していれば、仕事がスムーズに進み、部下も仕事がしやすくなるという意見もあるでしょう。 部下に何でも教えてくれる上司は、「優しい」と評判になり、それによって頼りにしてもらえる優越感に浸ってしまう人もいます。しかし、これが正しいマネジメントと言えるでしょうか。 これでは、部下は自分の力で現状を打開する能力が育ちません。上司の指示がないと動けないようになってしまいます。短期的に部下は仕事がしやすくなるとしても、長期的な目線で見れば、上司の過度な干渉は部下の成長機会を奪ってしまうのです。 明確な目標を示したのであれば、上司は“何もしない”が正解です。「仕事をしていないように見られるのでは?」と不安に思うかもしれませんが、上司の仕事は明確な目標を立てた段階で一区切り付いているのです。勇気を持って、何もしないでください。 もちろん、部下から寄せられた質問には真摯に応じるべきですが、そうでなければ部下の自主性を尊重しましょう。あえて距離を置くことが、部下の成長を促します。
執筆:識学 上席コンサルタント 武田 充彦