かつての2強「横浜FM」と「川崎」はなぜ凋落したのか(1)横浜FM「史上初のACL優勝」と川崎「橘田の左SB起用」、両チームに共通する「失点」
■両チームに共通する「DF陣の故障者」の多さ
両チームに共通するのは、失点の多さである。現在首位の町田ゼルビアは20試合で得点31と、横浜FM(30=19試合)、川崎(28)と大差はないが、失点はわずか16。これに対し横浜FMは失点28、川崎は29と、守備に問題があるのは明白だ。 その一因は、DF陣に故障者が多いことだ。横浜MFのDF陣で出場時間が1000分を超しているのは、センターバックの上島拓巳と右サイドバックの松原健だけで、左サイドバックバックの永戸勝也とセンターバックのエドゥアルドは800分台、センターバックの畠中槙之輔は300分に満たない。両サイドバックができる小池龍太も、昨年の大ケガから4月にようやく復帰したものの、わずか3試合に交代出場しただけで以後ベンチ入りメンバーから外れた。 加藤蓮、渡邉泰基ら若手が伸びているが、守備ラインの顔ぶれが試合ごとに変わる状況は極めて良くない。 川崎は、横浜FM以上にDFラインの構成に苦慮している。右サイドバックの山根視来と左サイドバックの登里享平が抜けた今季、川崎はセンターバックの丸山祐市と右サイドバックのファンウェルメスケルケン際、そして左サイドバックの三浦颯太を補強したが、三浦が4月上旬に大ケガを負って戦列を離れ、守備の大黒柱となるべきセンターバックのジェジエウも筋肉系の故障を繰り返し、出場時間を伸ばせない。 さらに若手の成長株、センターバックの高井幸大がU-23日本代表の活動で1か月間チームを離れたのも痛かった。その結果、本来は「アンカー」として中盤に不可欠な存在である橘田健人を左サイドバックとして起用するという「非常事態」も起きている。
大住良之
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