2年目の種まき神事 麻の成長、関係者ら祈願 三重・明和の斎宮跡
町など8団体連携 天津菅麻プロジェクト
三重県多気郡明和町など8団体が産学官連携で、国史跡・斎宮跡で大麻草を栽培する「天津菅麻(あまつすがそ)プロジェクト」は20日午前10時から、同町斎宮のさいくう平安の杜(もり)横の斎宮寮栽培地で本年度の種まき神事を開催。下村由美子町長ら関係者約7人が麻の成長とプロジェクトの発展を祈願した後、種まきが行われた。
同プロジェクトは昨年3月、町や皇學館大学、三重大学、㈱伊勢麻など8団体が連携し始動。町内の公有地などで大麻草を栽培し、麻の歴史文化の継承と農業としての麻生産の確立、麻産業の振興を目指して取り組んでいる。昨年4月、町内3カ所の公有地など計60アールで初めて栽培を始めた。 この日、畑の隣に設けられた式典会場には、下村町長や明和観光商社の千田良仁代表理事ら7人が参列。神事や種まきを見に訪れた約20人が見守る中、竹神社の樋口利江子宮司(71)=明和町有爾中=が神事を執り行った。 神事の後の種まきでは、㈱伊勢麻(南伊勢町)の谷川原健代表が、播種(はしゅ)機を手で引きながら畑をくまなく歩いて種をまいた。 町内3カ所の公有地計60アールで栽培される神事用と産業用大麻は、幻覚成分をほとんど含まない品種。今後は麻幹(おがら)を砕いて石灰と混ぜ合わせて建材に使うなどの活用方法も検討している。昨年、この場所で育てた大麻は不作でほとんど収穫できなかったが、順調にいけば約10アールから30~40キロの大麻が収穫できるという。 千田代表理事は「このプロジェクトも2年目を迎え、明和町を麻の聖地にして、ここから失われかけている歴史や文化に加え、新しい産業の創造に向けてメンバー一同頑張っていきたい」と話した。