「クズ役はお手のもの」道兼役玉置玲央インタビュー㊤「光る君へ」表情豊かに悪役熱演
平安時代、長編小説「源氏物語」を書いた紫式部が主人公のNHK大河ドラマ「光る君へ」。藤原道長(柄本佑)の次兄、道兼を演じるのが玉置玲央だ。一家の繁栄のため汚れ仕事を背負わされてきた悪役だが、にらんだり、憤慨したりと心情の変化をストレートに顔で表現した演技はSNSでも反響を呼んだ。 【グラフィック】大河ドラマ「光る君へ」人物相関図 ■「ピッタリな役」 藤原氏の名門に生まれた道兼。父親の愛に飢え、優秀な長男の道隆に対するコンプレックスを抱えてきた。マイペースな弟の道長にいらだちを向けることもあった。 脚本担当の大石静からは、「玉置さんに今回ピッタリな役があるのよ」と言われたという。もともと殺人犯や不倫する弁護士など悪役を演じる機会が多かった。「僕、結構クズの役が多いんですよ。だから言い方もありますが、お手のものなんです(笑)」と振り返る。 だが、道兼役は想像を超えていた。弟の道長に暴力を振るい、円融天皇退位の陰謀に加担。花山天皇をだまして出家させる。「『よし、やるぞ』っていう気持ちはあったんですが、蓋を開けて台本を見たら、『おい、なかなかじゃねえか』っていうのが来ました」と苦笑いする。 ■「ヘイト役全う」 ヒール役としての道兼を印象付けたのが第1回だ。物語の舞台は、平安時代。まひろと道長のラブストーリーと貴族社会での権力闘争が軸だ。大きな戦がない時代の平和な物語を想像していた視聴者に衝撃を与えたのが第1回のラスト。道兼がまひろの母親、ちやは(国仲涼子)を殺害したシーンだ。 「台本をいただいて、過去の大河ドラマではあまりない流れで、おもしろいじゃないかと正直思ったんです。ただ、1話が衝撃的な終わり方だったので、『こういう話が続くようだったら、今回は見なくていいや』ってなるのも嫌だった。そうなってしまうとしたら、きっかけは自分の所業なので、そういう意味ではプレッシャーはありました」と明かす。 返り血を浴びた道兼のすごみのある表情は、SNSでも話題になったが、肯定的に受け止められた。「自分でも、返り血浴びた顔を見て『こいつ、怖い』と思った」という。ただ、このシーンは物語の流れ上、大事なエピソード。「1話で離れてしまった方は実際いらっしゃると思うんです。けれど、道長とまひろの運命としてはものすごい大事な出来事」と語る。 さらに、共演者やスタッフが肯定してくれたのも心強かったという。「このままこの道兼のヘイト役、ヒール、ヴィランをきちんと全うしようと思えました」