最初はよかったのですが…60代元地方公務員総務の几帳面夫〈年金月32万円・貯金3,000万円〉で妻と過ごす緻密な老後を計画も、「はしゃいだのは退職後1年間だけ」【FPが解説】
老後も働くなんて…
Aさんは、老後は悠々自適の生活を送るため、しっかりとマネープランを組んで定年退職を迎えたつもりだったので、老後に働くということなど一切考えたことはありませんでした。現役時代は総務事務がほとんどで、特にこれといった資格や特技もなく、デスクワーク中心でしたから、これから身体を使った仕事などとても考えられません。 若いころから「公務員だから一生安泰」と思ってきましたが、老後を楽しめたのは定年退職してからはたった1年間のみ。 「同期の人間は親戚の会社に頼んでアルバイトを始めたと聞きましたが、私はどうしても働く気力が起きません。働くことはもともとあまり好きではないんです。贅沢をしなければなんとか暮らしていけると思いますが、いつなにが起きるかわからないと思うとお金が使えなくなりました。夫婦2人で自宅で過ごすことが多くなりましたよ。これからもこんな暮らしが続くのかと思うと気持ちが暗くなります。これからの時代は老後も働くことが当たり前の時代になっていくんでしょうね」肩を丸めて大きなため息をつくAさん。
定年後も働きたいと考える公務員が8割超
「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」によると、定年退職後も働きたいと思った人は83.3%となっており、また、定年退職後は働きたいと思わなかった人でも54.1%が収入を伴う仕事に就いている、と発表しています。 なお、定年退職後も働きたいと思った理由や働き続けたいと思った年齢については、次のグラフのようになっており、公務員といえども暮らしに余裕があるとはいえなくなってきていることがわかります。 Aさん夫婦はいまはまだ60代で健康ですが、将来病気になったり介護状態になったりした場合、高齢化が進む日本ではいくらお金がかかるかわかりません。 団塊世代のすべてが後期高齢者になる「2025年問題」もとうとう来年になってしまいました。なにが起こるかわからない時代、老後は健康でできるだけ長く働くことが重要になります。そのためには現役時代からの準備も大事です。マネープランだけでなく、若いうちから生涯のジョブプランも考えておきましょう。 川淵 ゆかり 川淵ゆかり事務所代表 ファイナンシャルプランナー
川淵 ゆかり
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