経済低迷の中国 強気一辺倒ではいられない
ジャーナリストの須田慎一郎が11月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米サンフランシスコで行われた日中首脳会談について解説した。
日中首脳会談、1年ぶりに開催
岸田総理大臣は11月16日、滞在していた米サンフランシスコで、中国の習近平国家主席と会談を行った。両首脳は戦略的互恵関係を包括的に推進することを再確認。岸田総理は日本産水産物の禁輸措置の即時撤廃を求め、両首脳は対話を通じて解決していく方針で一致した。
米中首脳会談とセットで見るべき
飯田)アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のために滞在していたサンフランシスコで、日中首脳会談も行われました。今回の会談をどう見たらいいでしょうか? 須田)日中首脳会談だけでなく、米中首脳会談とワンセットで見る必要があると思います。一時期はデカップリングという言葉に代表されるように、「今後の西側と中国は距離を広げていく、あるいは最終的に分断される」という状況でしたが、そうではないということです。
「歩み寄るために何ができるのか」を探り合うスタートになった
須田)完全な分断は不可能なのだから、「分離するところと手を携えるところを分けていこう」という流れです。分離される部分の代表としては、半導体などがあると思います。経済安全保障という観点もありますから、半導体や通信はそのような方向になります。 飯田)半導体や通信は。 須田)一方で中国にとっても、完全にそこがデカップリングされてしまうと、特に半導体分野は自国経済にも大きなダメージがあるので、何とか譲歩を引き出したいところです。日本の海産物なども含め、「完全に輸出・輸入しない」などと分離することはできません。「歩み寄るために何ができるのか」を探り合うスタートになったのではないかと思います。
今後、日中間で「言うべきことは言う」状況になる可能性を秘めた日中首脳会談だった
飯田)スタートというのは、中身よりも「まず会うことが大事」という意味ですか? 須田)会い方ですよね。これまでの日本外交は、両国の友好関係を大事にしようとして、「言うべきことを言わない」というケースがありました。あるいは事務方に任せるようなところがあった。 飯田)首脳同士に関しては、にこやかに会うのだと。 須田)処理水の問題や、処理水に端を発した海産物の輸入停止の問題、あるいは尖閣周辺の日本のEEZに設置したブイの問題についても、岸田首相が言及して解決を求めた。「どの程度のレベルで求めたのか」は今後、検証が必要だと思いますが、その辺りについて言及しました。今後、日中間で「言うべきことは言う、求めるべきものは求めていく」という状況になる可能性を秘めた日中首脳会談だったのではないかと思います。