【TSK×JAL】石州和紙を「糸」に Iターンの織物作家が挑む「川本発」の工芸(島根)
山陰中央テレビ
福島睦アナウンサー: TSKとJALのコラボ企画。 嶋村采音アナウンサー: スタジオには客室乗務員でJALふるさと応援隊の水城多記子さんです。 JALふるさと応援隊・水城多記子さん: よろしくお願いします。 嶋村采音アナウンサー: 今回は島根県にIターンして、創作活動に励む人を取材されたんですよね。 JALふるさと応援隊・水城多記子さん: はい。地域の素材を使って作品を紡ぐ織物作家を取材しました。 JALふるさと応援隊・水城多記子さん: 「のどかな山あいの集落にやってきました。今回ご紹介する方も都会の喧騒を忘れさせてくれるこの環境に魅了されたようです」 訪れたのは島根県川本町。 町の中心部から離れた三原地区です。 JALふるさと応援隊・水城多記子さん: 「こんにちは」 紙布織家・山内ゆうさん: 「いらっしゃいませ」 JALふるさと応援隊・水城多記子さん: 「こちらで創作活動をされているんですね」 紙布織家・山内ゆうさん: 「はい。元々商店だったらしいんですけど、ここをお借りして工房にして使わせてもらっています」 和服姿で出迎えてくれたのは織物作家の山内ゆうさん。 山内さんは神奈川県出身。 京都などで和裁や染織の技術を学んだあと5年前に地域おこし協力隊として川本町へ移住。 3年間の任期を終えた後も川本に残り築約80年の古民家を借りて創作活動に励んでいます。 JALふるさと応援隊・水城多記子さん: 「素敵な織物ですね」 紙布織家・山内ゆうさん: 「ありがとうございます。これは絣という技法で模様を出している帯です」 JALふるさと応援隊・水城多記子さん: 「触っても大丈夫ですか」 紙布織家・山内ゆうさん: 「はい」 JALふるさと応援隊・水城多記子さん: 「すごく柔らかいですね。思っているより随分しっとりしている。もっと固いと思っていました」 紙布織家・山内ゆうさん: 「はい。これは石州和紙を糸にして使っています」 JALふるさと応援隊・水城多記子さん: 「和紙とは思えない。布みたいですね」 作品の材料は島根県西部の特産「石州和紙」です。 地域に根ざした作品を作りたいと考えていた山内さん。 石州和紙で糸を作ることを思いつきました。 和紙を短冊状に細く切り水分を含ませます。 紙布織家・山内ゆうさん: 「これが糸によりをかける作業です。糸がねじられることで強くなります。ねじられた部分とそうでない部分を触ってみて下さい」 JALふるさと応援隊・水城多記子さん: 「随分しっかり丈夫な感じで全然変わってきますね」 紙布織家・山内ゆうさん: 「これで機織り機で織っても切れない糸になります。(石州和紙の)原料になるコウゾの繊維が他の地域より2ミリぐらい長く、和紙を作る工程でも普通は剥いでしまう甘皮を使用しているので日本一強い和紙と言われている」 石州和紙は他の和紙と比べてしなやかで弾力性があるのが特徴。 紙の糸からできた「紙布」は水洗いもアイロンがけもできる耐久性を備えています。 その「紙布」の耐久性を活かした新たな作品づくりにも挑戦しています。 紙布織家・山内ゆうさん: 「このようなコースターも製作しています」 龍に牡丹、そして渦。 いずれも石見神楽の衣装を題材にデザインしたコースター。 大手コーヒーメーカー・ネスレ日本が販売しているインスタントコーヒーの使用済み容器を材料とした糸が使われています。 JALふるさと応援隊・水城多記子さん: 「使用済みの物を使ってできるなんてSDGsに貢献している感じですね」 紙布織家・山内ゆうさん: 「私の普段の作品づくりも電気や動力を使わず地域の物を使っているのでSDGsと言えるのかも」 再生紙からできたを糸を縦糸に石州和紙からできた糸を横糸に織り込んだこのコースターは、東京・原宿のネスレカフェやインターネットで販売されています。 Q今後夢は? 紙布織家・山内ゆうさん: 「『横軸』の私が生きている時間と『紙布』は歴史ある石州和紙を使った織物で 、その『縦軸』の時間の深さがありすごく自分の思いを込めやすい作品作りができているので、その思いをもっと前面に出して何か物づくりができたら面白い」 伝統工芸に地理的ハンディキャップはないという山内さん。 これからも地域に根ざした作品づくりで川本発の「可能性」に挑み続けます。 福島睦アナウンサー: 「伝統工芸に新たな可能性を感じる創作活動でしたね」 JALふるさと応援隊・水城多記子さん: 「織物と同じ様に自らを『縦の糸』と『横の糸』に例え、新たな作品作りに向かう山内さんの活動に地元からも期待が寄せられています。 JALでも、伝統工芸品などの地域産品を越境ECサイトを通じて海外に広げ地域経済の活性化を支援しています」
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