都内の不登校の児童・生徒数が過去最多に、その背景には学校に対する意識の変化が?
TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。2023年度で過去最多を記録した“都内のいじめ、不登校の児童・生徒数”について取り上げました。 ◆一度はコロナで収まるも…いじめ認知件数が過去最多に 東京都教育長が2023年度の都内のいじめや不登校の児童・生徒数を発表。いずれも過去最多となったことがわかりました。 調査の対象となったのは都内の公立小学校・中学校・高等学校に通う児童や生徒で、いじめの認知件数については2013年度に「受け手がいじめだと思ったらいじめ」と定義が変わって以降、増加傾向にありました。その後、2020年度は新型コロナが流行し、生徒同士の接触が減ったことから一度は落ち着きましたが、コロナの収束とともに再び増加。昨年度は過去最多の6万9,752件となりました。 増加の理由について東京都は、軽微なものからしっかりと発見し対応したため、さらには“いじめ”という受け取り方の幅が広くなっているとも。例えば、先生からの注意喚起もいじめと受け取ってしまっているなどと分析しています。 ここまでの話を聞き、キャスターの堀潤はいじめの話をする際に「受け取る側の話をしてほしくない」と意見し、加えて「そういうことを投げかける側に、徹底的に教育・研修、知る機会や対策を取ってもらいたい。いじめの定義が広がったから相談件数が増えたわけではない」と異議を唱えます。 これに「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さんは、「(都が挙げていた増加理由は)一部そうした分析ができるかもしれないですけど、(いじめの認知件数が)増えた理由はそれだけではないと思う」と頷きつつ、より根本的な問題の分析を切望。 元裁判官で国際弁護士の八代英輝さんは、ただ認知件数を調査するのではなく、それで何が解決するのかが大事としつつ、認知という点についても「いじめかどうかという部分について、(いじめにあった)本人がいじめかどうか咀嚼しなければいけないのは、二次的な精神的被害を受けることに繋がりかねない」と危惧します。 また、前明石市長の泉房穂さんも「認知件数だけでなく、対策はどこまで進んだのかをセットで公表すべき」と指摘します。 ◆不登校の児童・生徒が増えるなか、学校への復帰率も上昇 2023年度の不登校児童・生徒数は過去最多の3万7,059人でしたが、増加の一因として東京都は「学校に対する児童・生徒・保護者の意識の変化」を挙げています。具体的には、学校に登校することが全てではなく、フリースクールなど多様な学び場が充実しているということを例示しています。 そうしたなか、不登校となった児童・生徒の学校への復帰率も増加しており、小学生は前年より5.4ポイント増の34.9%、中学生は6.2ポイント増の27.9%。理由としては、不登校の子どもたちが通える公立教育支援センターでの指導によって科目ごとに少しずつ復帰している生徒が増えていると分析しています。 不登校の問題について、泉さんは「教育の場所の選択、多様な選択肢の保証が大事」と声を大にします。そして、不登校になった背景についても注視すべきとした上で「先生のなかにも学校が正しい、学校に戻るべきという価値判断が強い方がいるので、先生が自由な選択を保証していくべきという論点もある」との補足も。 一方で堀は、多くはいじめを受けた側が学校を変えざるを得ないものの、加害者に対して公的な枠組みのなかでできることはないのかという質問を投げかけます。これに泉さんは「とても悩ましい問題」と頭を抱え、「柔軟な対応が必要」と苦慮。 能條さんは、不登校の原因はいじめだけではないため、不登校といじめの問題は切り分けて考えるべきと主張。さらには「東京都は独自に支援制度を作っているが、例えば、オンラインフリースクールは助成の対象外になっている。広い支援につながっていないところもあるので、そういった政策が東京から充実していくことが大事」と訴えていました。