次世代フェリーが進水 さんふらわあ かむい 25年就航へ 苫小牧―大洗航路 商船三井
商船三井(東京)グループが2025年に苫小牧―大洗航路で就航を計画している、LNG(液化天然ガス)燃料フェリーが広島県でお披露目された。従来の重油燃料フェリーと比べ、二酸化炭素(CO2)排出量を約35%削減できる次世代フェリーで、「さんふらわあ かむい」と命名。商船三井さんふらわあ(東京)は「環境負荷の軽減や物流の2024年問題の解決につなげたい」と期待している。 商船三井、商船三井さんふらわあ、内海造船(広島県)の3社が建造。事業費は非公表。従来の重油燃料フェリーの代替船で、商船三井グループのLNGフェリーとしては、23年に大阪―別府(大分)航路に就航した「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」に次いで3隻目になる。 「さんふらわあ かむい」は全長が約200メートル、総トン数約1万5600トン。従来船と比べて4000トン以上大型化した。乗客定員は従来比3人増の157人、乗用車は12台減の50台にとどめる一方、トラックは1台13メートル換算で20台増の155台を積載できる。 客室は大部屋を廃止して完全個室にし、より快適に船旅できる環境で、トラック積載スペースを拡張。貨物トラック輸送が海上輸送などに切り替わるモーダルシフトを促進し、物流業で時間外労働の上限規制が適用される2024年問題の解決に貢献する考えだ。 船名はアイヌ語で神を意味する「カムイ」が由来。LNGフェリーを初めて就航する北海道を意識したといい、商船三井さんふらわあは「偉大な先人であるアイヌに畏敬の念を示し、新時代の船をアイヌ語名とすることで、伝統と未来をつないでいくことを表した」としている。 11日に広島県尾道市の内海造船因島工場で命名・進水式を行い、関係者や観覧客ら約200人が参加した。「かむい」は今後内装の工事を経て、12月に商船三井に引き渡される予定。試験航海や船員の習熟訓練を行い、苫小牧港への初入港は25年初頭、商船三井さんふらわあが運航する苫小牧―大洗航路の深夜便に就航する予定だ。 また、同航路のLNGフェリー2番船も25年中に就航する予定で、年内の完成を目指している。
苫小牧民報