酷暑予想のパリ五輪、エアコンなし選手村にSNS上で議論勃発 日本は自前調達も……CO2削減「台無し」の声
現地時間7月26日(金)~8月11日(日)まで、フランスで開催されるパリオリンピック。これまでの大会と比較して、カーボンフットプリント(大会に関連して排出される二酸化炭素などの温室効果ガス量)を50%にするというゴールを掲げ、環境に配慮したさまざまな取り組みが行われている。そんななか、アスリートや大会関係者が寝泊まりする選手村をめぐり、SNS上で賛否が分かれている。
パリ市郊外に建設された今回の選手村には、エアコンが設置されていない。メディア用に公開された部屋の写真を見る限り、扇風機は備えられる様子。大会組織委員会曰く、壁に断熱材を使用したり、地下のパイプに水を通したりなど、さまざまな暑さ対策を講じることで選手村の室温を外気より6~10度下げることができるそう。
これに対し、各国の反応はまちまち。アメリカのオリンピック・パラリンピック委員会のサラ・ハーシュランド最高経営責任者は、アメリカ選手団の部屋にエアコンを設置することを発表。大会組織委員会がサステナビリティに尽力していることに敬意を表しつつも、「(エアコンの自前調達は)アスリートたちと彼らのパフォーマンスにとって最も有益な決断」と述べた。 報道によると、日本、オーストラリア、イタリア、カナダ、ドイツ、デンマークなどもエアコンを独自に設置する予定だという。大会組織委員会の担当者は「約2500台の移動式エアコンを注文している」ことを明らかにし、世間からは「体調管理を優先していい」「CO2削減の観点では本末転倒」という声が上がっている。
イギリス・ポーツマス大学の研究者と非営利団体、オリンピック選手らが共同で作成した報告書「火の五輪」によると、1947~2023年の間にパリで熱波が発生した数は50回にも及ぶ。地球温暖化による猛暑下での競技実施で「アスリートが命を落としかねない」と不安視されるなか、大会全体として気候変動に向き合うことも避けては通れない課題に。サステナビリティと、アスリートの安全とパフォーマンスは両立できるのか……世界からの注目が集まっている。