業界紙の大賞で注目 愛知発の自動車用高機能クッション
自動車の座席などの内装品縫製加工会社で、愛知県蒲郡市に生産拠点工場を置くスギウラクラフトの自動車用高機能クッションがこのほど、自動車業界紙大手の日刊自動車新聞が選定する用品大賞2015のアクセサリー部門賞を受賞した。自社幹部の腰痛を解消するために開発。従業員30人ほどの町工場の技術力に、評価や注目が集まっている。
社長が持病による腰痛に悩んでいたことがきっかけ
クッション開発は、スギウラクラフト社長の杉浦武史さん(53)が15年ほど前から、持病の椎間板ヘルニアによる腰の痛みに悩んでいたことがきっかけ。車好きな杉浦さんは、長時間運転の際に襲う痛みを軽減しようと、国内外で市販されるサポートクッションを試すが、納得のいく効果を得られなかったという。そこで同社の技術を生かして、姿勢改善や体への負担軽減を図るクッションを、自社開発することにした。 開発は今から2年前に開始。「自ら使って気持ちいいクッション」をテーマに、整形外科の主治医の助言を受けながら、試作品を作った。従業員やモニター20人の意見を集めて改良を重ねた末、昨年夏に完成したのが「リバースポルト」だ。 枠や背中の部分には、緩衝性がある高発泡ポリエチレンの棒材などを使用。固さが違うスポンジやメッシュ素材を組み合わせることにより、利用者の体を包み込んで姿勢を安定させる機能を持たせ、通気性も高めた。製品は一つ一つ手作りされ、ネット通販で販売される。
腰痛で悩む人の痛みの軽減につながってほしい
受賞の連絡を受けた時のことを杉浦さんは「ただただ驚いた」と振り返る。高機能を追求しつつ価格を1万円前後に抑えたことや、月平均約2000個売り上げて、利用者から支持を受けている点などが評価された。 利用者が増えれば、ユーザーレビューも増える。同社に寄せられた意見は、既存製品の改良や新製品開発に生かしている。今年10月末現在、高機能クッションは「ミッションプライズ」シリーズとして、事務椅子用や子ども用まで多種がそろう。 現在は、足への負担を和らげる靴用の中敷きを開発中。杉浦さんは「持病の悩みで趣味程度から始めたクッション開発が、自社製品として多くの人に使ってもらえてうれしい」と話し、「腰痛で悩む人が自分の姿勢に気をつけて、痛みの軽減につながってほしい」と期待を込めた。 (斉藤理/MOTIVA)