近江・山田、志願の降板 決勝で知る複数投手の重要性 センバツ
第94回選抜高校野球大会は最終日の31日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で決勝があり、近江(滋賀)は大阪桐蔭との近畿勢対決に1―18で敗れたが、滋賀勢として初の準優勝を果たした。補欠校から繰り上げ出場したチームの準優勝は史上初めて。 【近江・山田 力投も降板 決勝を写真で】 ◇ 三回、大阪桐蔭の3番・松尾に本塁打を浴びると、近江の右腕・山田はベンチに向かって指をひねったり、タイムのポーズを取ったりして投手交代をアピールした。「これ以上チームに迷惑をかけることはできない。松尾君で最後にしようと思っていて結果的に本塁打になった」。45球で自らマウンドを降りることを決断した。 1回戦から4試合連続完投。投じた球数は計549球に上っていた。1週間500球以内の球数制限で、決勝で投げられるのは116球。前日の準決勝では170球を投げた上に左足かかと付近に死球を受けた影響もあり、患部をテーピングで固定して臨んだが、明らかに本調子ではなかった。 一回から140キロ台の直球は影を潜める。130キロ台の真っすぐにツーシームなどの変化球でかわす投球を狙ったが、大阪桐蔭打線は見逃さない。2番・谷口に高めの直球を右前に運ばれ早々と失点。二回終了後には星野に「キャッチボールをしておいてくれ」と伝えて降板に備えると、三回に松尾に投じた球は123キロの直球。「130キロも出ないということは分かっていた」と山田。握力がなく、球に力をうまく伝えられない結果だった。 登板を志願した山田の心意気を買って、5試合連続先発のマウンドとなったが「今日の先発は無理だった。間違いだった」と語る多賀監督。山田も「短期間での試合がある中で、投手1人では厳しいと痛感した」と振り返る。絶対的なエースの力に頼り決勝までは勝ち進んだが、複数投手制の重要性を決勝で知ることになった。【藤田健志】