親子で青崩峠トンネルへ 飯田市が見学会 建設業への理解深める【長野県】
長野県飯田市と静岡県浜松市を結ぶ三遠南信道の工事現場で11日、飯田市が親子見学会を開いた。市内の小学生とその保護者が対象で、19組38人が参加。昨年5月に貫通した青崩峠トンネル(仮称、全長4998メートル)内の県境部分などを見学し、建設工事が続く三遠南信道への理解を深めた。 人材不足が続く建設業に関心を持ってもらおうと初めて企画。募集を大きく上回る129組から応募があり、抽選で参加者を決めた。国土交通省飯田国道事務所が共催し、工事関係者が現場の説明を担った。 青崩峠トンネルの見学では、参加者がバスに乗って南信濃の坑口から約2・8キロの県境へ。トンネル内の補強工事が行われている現場を見学したり、県境の印で記念撮影をしたりして楽しんだ。 工事関係者はトンネル掘削の手順や青崩峠の地形の特性などを説明。発破、ずり出し、コンクリート吹付の工程で約1メートルずつ掘削を進めたことや、中央構造線の影響を受けたもろい地盤と600メートル以上の土被りにより困難な工事だったことなどを伝えた。 青崩峠トンネルの後には喬木村の氏乗IC(仮称)の工事現場で建設機械の見学を行った。参加者は最新のテクノロジーを使った機械作業を間近で見たり機械に触れたりしてデジタル化が進む建設業を体感した。 松尾小学校6年の児童(11)は母親と参加。「トンネル工事がこんなに大変とは知らなかった」といい「工事の人たちの技術はすごいと思った」と語った。 市建設部の佐藤智保参事(53)は「開通後は車しか通れないので歩いて見学できるのは貴重な機会。大規模な工事現場を見て建設業に興味を持ってもらえたら」と期待した。 青崩峠トンネルは2019年4月に長野県側の坑口から掘削を開始し、昨年5月に長野県側2854メートル、静岡県側2144メートルの地点で貫通した。トンネルを含む青崩峠道路の開通時期は未定。現在トンネル内では壁や天井をコンクリートで補強する覆工作業が進められ、4月末時点で94%が完了している。