金建希夫人の疑惑封じに尹錫悦大統領が「検察首脳部入れ替え人事」発動…!? 保守系メディアまでもが猛反発する事態に
保守紙までもが尹大統領を非難
ドイツモーターズの株価操作疑惑とは、2009年~2012年の間、ドイツ産輸入車の販売会社、ドイツモーターズの代表が主導した株価操作事件で、これに金夫人が資金を提供したという疑いを持たれている。 初めて疑惑が提起された時は「嫌疑なし」の結論が出たが、曹国(チョ・グク)前法務長官一家に対する検察捜査を巡り、尹錫悦検察総長(当時)が文在寅政権と対立しはじめた2020年、金夫人は検察に再告発された。その後の4年間、検察は捜査を続けているものの、金夫人に対しては一度の書面調査だけで、召喚調査は行われなかった。野党は、検察捜査が公正でないとして、昨年12月に国会で「金建希特別検事法」を上程した。 政界では、「これに負担を感じた宋庚鎬ソウル中央地検長は金夫人に対する召喚調査を試みたが、大統領府の強い反発で実現できかった」といううわさが広がっていた。韓国メディアによると、この時から検察内の元祖親尹(尹錫悦派閥)検事たちと大統領府との関係がこじれ、金夫人の捜査を総指揮していた宋地検長が交代したそうだ。 大統領府や法務部は「通常の人事」という立場だが、政界では普通年初に行われる検察の人事異動が、なぜこの敏感な時期に断行されたのかと疑問視する声も多い。 この検察人事に対する韓国メディアの反発は尋常でなく、保守紙までもが尹大統領非難に乗り出した。 『朝鮮日報』は、今回の事態が「4年前の事件を思い出させる」と皮肉った。文在寅政権時代の2020年、政権の各種不正を捜査していた検事を一人残らず左遷させ、捜査チームを空中解体させた事件だ。当時、検察総長として状況の一部始終を見守っていた尹大統領が「自身の夫人を捜査する検察首脳部を突然交替した」とし、「国民からは“国民が信じて任せた権力を夫人の保護に使っている”という非難が出ている」と嘆いた。(5月15日社説) 『中央日報』は、「後任の中央地検長に任命された李昌洙(イ・チャンス)全州地検長は、尹錫悦大統領が検察総長時代、最高検察庁報道官を務め、『尹錫悦の口』と呼ばれた検事」とし、民主党の「金夫人に対する捜査が本格化するこの時、大統領の腹心を中央地検長に座らせたのは、金夫人を聖域にしろ(捜査するな)というシグナルと読まざるを得ない」という論評を紹介した。(5月14日社説) 『東亜日報』は、「金夫人の捜査がうやむやになれば、人事で検察を揺さぶった大統領、その前で無気力になってしまった検察、いずれも重い責任を避けられないだろう」と警告した。(5月15日社説) 進歩紙の『ハンギョレ』は、「尹大統領が検察の人事権を夫人の防弾用に使った」「特検捜査がぜひ必要な理由がもう一つ増えた」(5月14日社説)、「李元錫(イ・ウォンソク)検察総長が‘厳正な捜査’を指示してから10日余りで指揮部を全面交替したことは露骨な捜査妨害」「検察を大統領の手中に置いて統制・管理するという意図ではないか」(5月15日社説)など、2日連続して批判を浴びせている。