ハンブレッダーズ対バンツアー、フォーリミを迎えたツアー初日Zepp Fukuoka公演レポート
場内に入り、まず目を引いたのはステージ後方に設置されたバックドロップだ。ハンブレッダーズ、04 Limited Sazabys、UNISON SQUARE GARDEN、サンボマスター、マカロニえんぴつ、凛として時雨と計6バンドの巨大ロゴがひしめき合っている。インパクトは抜群だ。しかし、ここまで対バンの名前をフィーチャーしたバックドロップも珍しい。主催バンドの、このツアーに賭ける意気込みがビシビシと伝わってきた。 【全ての写真】ハンブレッダーズ『秋のグーパンまつりZ 2024』初日公演(全14枚) 11月から12月にかけて開催されるハンブレッダーズの対バンツアー『秋のグーパンまつりZ 2024』。計5本に及ぶ本ツアー初日にあたるZepp Fukuoka公演に足を運んだ。トップの04 Limited Sazabysがステージに現れるや、満員御礼のフロアは一気に活気づく。「福岡、行けるかー!」とRYU-TA(g/cho)が気迫のこもった一言を投げかけ、「Keep going」でショウは始まった。疾走感溢れる曲調に観客は拳を突き上げ、初っ端から熱い盛り上がりを記録。それからKOUHEI(ds/cho)によるリズミカルなドラムを配した「Kitchen」へ。 ぎゅうぎゅうのフロアは踊る人たちが増え、お祭り感は増幅するばかりだ。ツービートの「My HERO」をやり終えた後、「このフラッグ見てください、04 Limited Sazabysが主役です!」とGEN(vo/b)はコメント。確かにハンブレッダーズの下、ほぼ中央にフォーリミのバンド名がある。続けて「(対バンのバンド名を読み上げた後)ハンブレッダーズ売れましたよ。いつの間にかでかくなってる」と褒め称えていた。 その後もツービートからポップな曲調まで織り交ぜ、フロアを激しく揺らし続けるフォーリミ。「fiction」~「Finder」と熱情迸るドラマティックな曲も映え渡っていた。中盤過ぎに再びGENは「ハンブレッダーズは曲がいい。とにかく言葉の力、曲の力で売れた。いい活動の仕方をしてる」と大絶賛。フォーリミにとってハンブレッダーズは後輩になるものの、純粋に音楽の力で勝ち上がってきたバンドと評価しているのだろう。それだけに先輩としての意地もあれば、負けられない気持ちも当然あるに違いない。 後半はミラーボールが回る中で「midnight cruising」を解き放ち、さらに久しぶりに聴いた「Harvest」も胸に刺さった。曲の前半はHIROKAZ(g)がギターを弾き、そこにGENはゆっくりと歌を載せた後、怒涛のバンド・サウンドへと突入する。歌の魅力とバンドの醍醐味を伝えるアプローチにより、フォーリミの美点を浮かび上がらせた名曲だなと改めて感じた。ライブ全体を通して、もっとポップな曲調に寄せた内容で挑むのかなと思いきや、メロコア仕込みの疾走ナンバーを挟みつつ、メロディやグルーヴの心地良さ、また曲展開のかっこ良さを知らしめる幕の内弁当的な選曲で大いに盛り上げてくれた。 そんなフォーリミのライブを受けて、ハンブレッダーズはどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。SEが流れると、ムツムロ アキラ(vo/g)、でらし(b/cho)、木島(ds)、ukicaster(g)のメンバー4人が登場。 ライブが始まると、序盤から凄まじい歓声が起き、早くもバンドの空気に会場を染め上げていく。筆者はライブを観ながら、メンバー一人ひとりを観察して、この人は何か光るものがある、この人には自然と目が行くとか、いろいろと考えてしまう方なのだ。ハンブレッダーズはいい意味でメンバー全員に目がいってしまう。それぞれに魅力があり、それぞれに見せ場があり、メンバー4人が横並びでタッグを組んでいる印象を受ける。 バンドの総合値というか、1+1+1+1=4という単純な図式ではなく、それが10にも50にも100にも見えるチームワークの強さを感じる。音源を聴いてもわかる通り、ムツムロは日本語がはっきりと聴き取れる歌い方だ。歌詞カードを読まなくても、耳でダイレクトに感じられる日本語の響きが気持ちいい。ライブでは気持ちが乗る分、音源と同じとは言わないけれど、基本軸はブレていない。稀有なボーカリストである。 でらしは手数の多いベース・プレイヤーだ。フレージングが豊かで躍動的。曲の中でそれがいいフックとなり、ライブ中も激しく動き回る低音に耳が引き付けられた。大人っぽい「DANCING IN THE ROOM」ではギター~ベースとソロ・パートを繋ぐ展開もいい見せ場になっている。世代を問わないダンサブルな曲調でフロアを横に揺らしていた。 木島は的確にビートを叩き、バンドの屋台骨をがっしりと支えるドラマーである。大合唱の嵐となった「ギター」の後半では椅子から立ち上がってドラムを叩く場面もあり、クールなルックスとは正反対の派手なアクションに観ているこちらも興奮させられてしまった。 ukicasterに関してはハード・ロック/メタル調のギター・ソロを挟み、存在感を猛烈にアピール。というか、ハンブレッダーズはそもそもギター・ソロをフィーチャーした曲が結構多い。今日は20代前後のお客さん、あるいは学校帰りの女子高生の姿も見かけたが、40、50代のロック好きにもリーチする魅力がある。「ヤバすぎるスピード」でもさりげなくギター・ソロを入れ、視界がパーッと広がるような爽快感をもたらしてくれる。楽曲の景観を壊さないソロに心の中で何度も「オッ!」と雄叫びを上げていた。 メンバー全員が横並び、点取り屋のエース・ストライカーが4人いるという印象。にもかかわらず、縦の線が揃ったバンド・アンサンブルが肝。ライブで聴くと、曲の良さが倍増して、何とも気持ちいいのだ。つまり曲の中で主役が入れ替わり、様々な見せ場を作ってくれるけど、最後に残るのは楽曲の良さ、バンド・アンサンブルの素晴らしさなのだ。いそうでいないバンドだと思う。 この日は11月に出たばかりの新曲「アクション!」を初披露。演奏前に「今はSNSで人のことがよく見えるから、ギターを弾きたいと思っても自分より上手い人を見つけて、辞める人もいる。自分がやることに意味があるんだ!」とムツムロは熱いMCを挟み、さらに「普段やらないことにチャレンジする」と言い出し、同曲をプレイする前にステージでジャンプを決めていた。 それこそチャレンジという言葉にかけるなら、今年は地元である大阪城ホールでワンマン・ライブ、加えて、シングルやアルバムまで出し、精力的に活動してきた彼ら。そして、今年の締め括りは最強の対バン勢を迎えた本ツアー。その初日にあたるZepp Fukuoka公演は幸先のいいスタート・ダッシュが切れたのではないだろうか。いい歌といい曲、加えて、最高のアンサンブルと激熱のメッセージを各地で受け止めてほしい。 Text:荒金良介 <ツアー情報> 『秋のグーパンまつりZ 2024』 11月13日(水) 福岡・Zepp Fukuoka 開場18:00 / 開演19:00 ゲスト:04 Limited Sazabys ※SOLD OUT/終了 11月20日(水) 北海道・Zepp Sapporo 開場18:00 / 開演19:00 ゲスト:UNISON SQUARE GARDEN ※SOLD OUT 11月26日(火) 愛知・Zepp Nagoya 開場18:00 / 開演19:00 ゲスト:サンボマスター ※SOLD OUT 11月27日(水) 大阪・Zepp Osaka Bayside 開場18:00 / 開演19:00 ゲスト:マカロニえんぴつ ※SOLD OUT 12月5日(木) 東京・Zepp Haneda(TOKYO) 開場18:00 / 開演19:00 ゲスト:凛として時雨 ※SOLD OUT