なぜ〝缶の日本酒〟は定着しないのか?一合缶の日本酒「ICHI-GO-CAN」が変える未来
国内出荷量と輸出量の「ねじれ現象」
日本酒の現状は、残念ながら明るいとは言えない。 農林水産省農産局が2023年9月に作成したPDF資料が筆者の手元にあるが、それにはこう書かれている。 日本酒の国内出荷量は、ピーク時(昭和48年)には170万klを超えていたが、他のアルコール飲料との競合などにより減少傾向で推移。 平成30年以降は国内出荷量の減少幅が大きくなり、これまで堅調に推移していた特定名称酒(吟醸酒、純米酒等)についても減少に転じ、令和4年では約40万klまで減少。 170万klが50年の間に40万klになってしまったのだ。ところが、輸出に関しては一転して堅調という現実も存在する。 日本酒の国内出荷量が減少傾向にある中、輸出量については、海外での日本食ブーム等を背景に増加傾向で推移しており、令和2年は新型コロナウイルス感染症の世界的なまん延等の影響により減少したものの、令和3年には大幅に回復。 日本人は日本酒を飲まなくなったが、日本国外の人は「Sake」を好んでいる。今や世界中の国際空港の免税品店に日本酒が並んでいるほどだ。 21世紀も20年以上が過ぎた現代、日本酒業界はあまりに異様なねじれ現象の只中にあるのだ。 後編では、ICHI-GO-CANのメリットと日本酒復権の可能性について考えていく。 取材・文/澤田真一
@DIME編集部