泉房穂・前明石市長がこれだけは国民に伝えたいこと「日本にはまだまだ希望がある!社会は必ず変えられる」
成功事例を学び外れていれば「方針転換」
明石市の政策は周囲から〝よく当たる〟と言われるが、私が全部考えたというわけではない。例えば明石市の小中学校の女子トイレには無料で生理用ナプキンを置いている。全国初の取り組みだが、これは海外事例を学んだ職員からの提案であった。 成功事例は積極的に学ぶよう心掛けていた。意識していたことは2つある。1つは国内だけでなく、地球儀全体を俯瞰するような形で、成功事例を参考にしたこと。そして、それを「明石市」に置き換えてアレンジすることだ。 もう1点は、ニーズに合わせること。要は、テナント料を払えなかったらテナント料を払う、ひとり親家庭の子どもが困っていたら、子どもにお金を渡すという、シンプルで簡単な話だ。 ただ、良かれと思ってやった政策も、すべてが当たるとは限らない。もし、外れているとわかったら、自分のメンツやこだわりは捨て、現実に合わせて変えていくことが大事だ。まさに「方針転換」である。そして、外れたときには率直に謝罪する、あるいは責任を取るのが政治家の仕事だ。
関係者が多く大変なことは承知の上だが、こうした明石市の取り組みは、国政や中央省庁に置き換えても、構図はまったく同じではないかと思う。
明石にできることは他のまち、国にもできる
私が市長に就任した当時、明石市は人口減少、財政赤字、駅前衰退の「三重苦」に直面していたが、その後、独自の子ども施策の効果もあり、今では11年連続人口増で、経済も好循環に入っている。財政赤字からも脱し、駅前も賑わいを取り戻している。12年間で、高齢者・障害者福祉にも注力してきた。 明石市民は政治が変わったことで、まちも変わったことを実感した。私はこうしたリアリティーをもっともっと全国に広げたい。明石にできることは他のまち、いや、国でもできる。 そのためには政治家はきちんと国民の方を向いて語るべきだ。国民は「聞く耳」を持っているし、「分かる心」もある。国民のために本気でやることを自らの「言葉」で語れば、お金がなくたって、選挙にも勝てる。まだまだこの世の中は捨てたもんじゃない。
大城慶吾,梶田美有