奥能登4公立病院、看護師60人の離職や入院患者の転院で病床半減…専門家「設備や人員面で行政支援欠かせない」
患者の受け入れに向け、柳田温泉病院に併設する高齢者療養施設・介護医療院が1日、能登町の公立宇出津(うしつ)総合病院の空き病床を間借りして再開した。公立病院に民間の高齢者施設が入るのは異例だ。期間は再建までの3年を見込む。
地震で県内外の施設に移った介護医療院の入所者109人のうち、約20人が帰還を希望している。この日、福井県の高齢者施設から戻った大畑照枝さん(94)は「ふるさとの空気は違うわ」と顔をほころばせた。事務長の野村清一さん(52)は「入所者の声を受け、町と再開を探ってきた。職員の雇用も確保できる。復興の一歩にしたい」と語る。
立命館大の丹波史紀教授(社会福祉学)は「医療介護の受け皿がないと、治療や介護が必要な高齢者とその家族も戻らず、過疎化が一層進む。機能維持のため、行政による設備や人員面での支援が欠かせない」と指摘する。