きたる「米ドル1強&超円安」時代のリスクと「グローバルな経済危機」にどう備えるか
はじめにー 米3月雇用統計とイランとイスラエルの情勢
米労働省が発表する3月雇用統計によると、米雇用者数は約1年ぶりに増加しています。特に非農業部門雇用者数が前月比予想21.2万人、結果30.3万人と大幅に増加しましたが、これは米国への移民の増加が主な要因です。 【マンガ】「長者番付1位」になった「会社員」の「スゴすぎる投資術」の全容 こうした米国の好調な雇用統計によって、当初6月と予想されていたFRBの利下げ予想は後退し、現在のマーケットは9月利下げを織り込みつつあります。 とはいえ、移民の増加によるインフレの可能性は低く、実際、平均時給の上昇率は前年同月比に対しては鈍化しています。 今後インフレにつながる可能性があるとすれば、移民増加によって、特定のエリアの家賃上昇が想定されますが、そのリスクは今のところ低いでしょう。 もう一つ世界情勢を見ると、4月14日にイランがイスラエルに報復攻撃を開始しました。この出来事をきっかけに金の先物価格は史上最高値を更新しましたが、今後、金価格は下落する可能性が高いでしょう。なぜなら、今回の金価格の上昇はイランとイスラエルの火種が噂となり金が買われたからです。そのため戦争が始まると噂である不確定要素が減るため、投資家の金売りが強くなることが考えられるのです。 この2つのトピックを念頭に米ドル1強時代のリスクとグローバルな経済危機の可能性について解説していきます。
米ドル1強時代のメカニズム
IMF(国際通貨基金)が世界経済の成長予測について発表しました。 その内訳をみると、2024年の世界GDP成長率は+0.1%修正され3.2%の見通しです。 これは米国が+0.6%と大幅に修正され2.7%の見通しとなったことが大きな要因です。その一方、英国やユーロは-0.1%の下方修正となりました。新興国の中ではインドの成長が+0.3%と上昇修正され6.8%の見通しとなっています。 著しく経済が後退した地域としては、発展途上国の中でも「低所得国」に分類される国々です。これは米ドル高が要因となり物価が高騰したことが要因となり、生活コストを圧迫しているからです。 こうしたデータを見る限り、米国の1強時代が強まり、発展途上国の経済回復は時間がかかることを示唆しており、世界経済は国や地域によって格差がさらに広がっていることが見えてくるのです。 そして仮に米ドル1強時代が長期化した場合、世界経済にとっては新たなリスクが顕在化する可能性が高まります。なぜなら現在、世界の主要な中央銀行の政策は足並みが揃っていないからです。